『-one-』
カリスマホスト!? P7
道端に残された俺と悠斗さん。
タクシーが走って行った方向をずっと見つめたまま暫く呆然と立ち尽くしていると悠斗さんに肩をポンと叩かれた。
「そういう事だ…な?」
それ以上説明の言葉は必要なかった。
「でも…陸さんはあんなすげぇホストなのに…」
「麻衣さんの為なら何でも出来る人だよ、あの人は…」
妙にその言葉が説得力があった。
「それにしても麻衣さんもホストとよく付き合う決心しましたよね…すげぇ心が広いんすかね?」
「さぁどうなんだろうな?本当に好きならホストとか関係ねぇじゃね?」
本当に好きならか…。
そんな大事な彼女がいるのに仕事中とか全然そんな素振りも見せない陸さんってやっぱすげぇ!!
普通に俺の嫁さんになるとか言えるあの男気!!
俺もあんな男になってやる!!
俺はますます陸さんの事を知りたくなった。
「うわぁ…すげぇ陸さんを崇拝しちゃってる?」
横から悠斗さんが苦笑して俺を見た。
「当たり前じゃないっすか!あんなに仕事も完璧でいい男なのにプライベートでもしっかり人生設計みたいなのに出来てるし!」
俺は興奮しながら悠斗さんに語ると鼻で笑われてしまった。
「いい事教えてやろうか?」
言葉をそこで切ってニヤリと笑うと楽しそうに言った。
「陸さんが常に携帯を触ってるのは営業メールじゃなくて麻衣さんからメールが来てないか気になって仕方がないから」
「マ、マジっすか…?」
笑いを堪えながら頷く悠斗さんを見て少し目眩がした。
そんな俺に更に追い討ちをかけるかのように耳元で驚愕の事実を知らされて思わず足元から崩れ落ちそうになるのを必死に堪えた。
「露天風呂で後ろから麻衣さんに抱きついてた陸さんはうちの店じゃちょっとした伝説だなー」
あの陸さんが…あ、ありえない…。
でも色んな意味でも俺にとっては憧れの人っす。
end
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