『-one-』

お兄ちゃんとご対面 P8


 やっぱり心配で駆けつけてきて正解だった。

 慌てて陸の部屋に入るとお兄ちゃんは既に陸を押し倒していた。

「もう!早く離れてよっ!」

 お兄ちゃんを引っ張って二人の間に割り込んだ。

「おまえタイミング悪すぎだってぇ」

 ふてくされた顔をして座り込んだ。

「お兄ちゃん!彼氏いるでしょ!!」

「だって忙しいからって相手してくれねーもん」

 口を尖らせて床に指で“の”の字を書いてる。

「まさか…それで日本に来たの?」

 知らん振りして目を反らした所を見るときっと図星なのね。

「ま、麻衣…?」
 
 事情を掴めてない陸がキョトンとしている。

「ごめんね。お兄ちゃんゲイなの…」

「え…ゲイ…?」

「食べられる前で良かったぁ〜」

 私は心底安心して陸を抱きしめた。

「あ…そ、そういう事?」

「お兄ちゃん、陸に謝ってよ!」

「ふんっ」

 ふんってお兄ちゃん一体いくつよ…子供じゃないんだから。

「じゃあ俺、行くわ」

「い、行くってどこへ?」

「昨日電話あった。飛行機で迎えに来るって」

「今度はいつ帰って来る?」

「そうだな…結婚式には帰って来るよ!な?陸!」

 ジャッと手を振って部屋を出て行った。

 本当に帰って来る度に何か騒動を起こして人騒がせなんだから。

「結婚式って誰の?陸も知ってるの?」

 陸はジーッと私の顔を見てから拗ねたように横を向いた。

「な、なに?」

「麻衣のバカ」

 end


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