『-one-』

元カノ現る P6:side陸


 麻衣、どうしたんだよ…。

 昨日の麻衣は絶対におかしい。

 あんな風に絡んで来るなんて今まで一度もなかった。

 俺もついカッとなって怒鳴ってしまったけど麻衣があんな風に怒鳴るなんて信じられなかった。

 結局帰ってきてもあまり眠れずにベッドの上にいただけでもう昼近くになっている。

 枕元に置いた携帯は麻衣からの着信もメールもなかった。

「俺…何したんだろ…」

 ベッドの上で頭を抱え込んだ。

 全然原因が分かんねぇ…。

「…ぇ…ねぇ 陸ってば聞いてるの?」

「あ、あぁ…ごめん」

 夕方、店の客と食事をしていてもずっと上の空だ。

「何か今日の陸、変」

 メールを送っても返事がないし電話にも出てくれなくて胸が張り裂けそうになる。

 ずっと麻衣の事が気になってるのに麻衣の所にいけないなんて。

「そろそろ、店行こうか」

 店の中のが気が紛れるな…。

「ねぇ…陸。こうしてると昔を思い出さない?」

「…もう終わった事だし」

 高校時代の彼女と偶然再会したのは一ヶ月ほど前。

 ホストやってるって言ったら毎日のように店に来るようになった。

 金回りもいいし知らない奴じゃないから頻繁に同伴するようになった。

「私達やり直さない?」

「何ゆってんの?」

 思ってもない事を言われこいつの魂胆が分かりうんざりした。

 だけど店の客だからあまり邪険には出来ないよな。

「まだ浮気した事怒ってるの?」

「いつの話だよ」

「あれは陸にヤキモチ妬いて欲しかっただけなの。だからわざとあんな奴とデートしただけ」

 よく言うよ友達に「陸なんかより全然っかっこいいの」って自慢してたじゃねぇかよ。

 急に立ち止まって俺を見た。

「何だよ…」

「私やっぱり陸が好きなの」

 昔より綺麗になった元カノに見つめられて少しドキッとした。

「絵里…。俺は…」

 前の方から視線を感じて顔を上げた。

 手に紙袋を持った麻衣が立っている。

「ねぇ、陸?」

 絵里が俺の側に寄り添って来るのを見ると麻衣は見る見るうちに青ざめて急に向きを変えて走り出した。

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