『拍手小説』
ぱ5-1

『第一回 ももゆめの未来を考えようの会』

「どうも。進行役を務めさせて頂くことになりました篠田貴俊です。宜しくお願いします」

 さて、始まりましたこの変な会。
 今回の参加者の皆様方の顔ぶれは……

 『君の隣』からは進行役の篠田貴俊、東雲祐二。

 『-one-』からは中塚陸、田口麻衣。

 『緋の邂逅』からは月守紅蓮、井上心愛。

 以上六名。


「なぁなぁ、何で俺も出ないといけねぇんだよ。俺難しいことなんて分かんねぇって」

「祐二は俺の隣にいるだけでいいんだよ。食べる物はたくさんあるからね」

 にっこり微笑む貴俊の横には少々膨れ気味の祐二。

 だが視線が捉えるのはさっきからぐつぐつと音を立て湯気立ち上る水炊きの鍋。

 どうやら食事をしながらの和やかな歓談が狙いらしい。

 その狙いは見事に当たった。

 貴俊×祐二の向かい側に座る二人を見れば一目瞭然だ。

「美味しいそうねぇ、やっぱり冬は鍋! ね、陸?」

「美味そうだけどさぁ、別にこいつらと一緒に食うことねぇじゃん?」

 ご機嫌な麻衣の横で少々不機嫌な陸。

 どうやらその原因は向かい側に座る祐二が原因らしい。

 陸と祐二は数分前に顔を合わせた途端ほぼ同時に「アッ!」と声を上げた。

 二人とも夏の出来事を覚えていたらしい。

 だが大人な貴俊と麻衣がその場を取り成して今に至る。

「お前……チラチラ麻衣のこと見てんなよ」

「み、見てねぇだろっ! だいたい俺にはなっ……」

 睨まれ低い声で牽制された祐二が慌てたように口を開いた。

 だがハッとしたように口をモゴモゴさせながら不自然なほど視線を泳がせる。


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