『拍手小説』
ぱ5-2
「俺には……なぁに? 祐二」
「な、なんでもねぇっ!」
ニヤニヤ笑う貴俊。
真っ赤な顔してるのはきっと鍋の熱気のせいじゃないだろう祐二。
「男なら最後まで言えっつーの。お前チ○チ○付いてんのか?」
「陸っ!!」
からかう陸を横から麻衣が叱る。
太ももをギュッと抓られて陸は声にならない悲鳴を上げた。
「ご心配なく。祐二には可愛いのが付いてますから」
怒りのあまり声も出ない祐二の代わりに貴俊が澄ました顔で答える。
貴俊の横に座る祐二はアングリと口を開けて固まった。
それを聞いていた陸はプッと吹き出し肩を揺らしながら笑う。
「バ、バカ言うなっ! お、俺には立派なのが付いてんだっ!」
「ほぉ? じゃあ見せてみろよ」
「陸、いい加減にしてよっ」
売り言葉に買い言葉。
誰が止めるんだよ、コレ。
麻衣の制止も聞かずに煽る陸に見事に術中にはまる祐二が立ち上がりズボンに手を掛ける。
だが空気が凍りついた。
「祐二、俺以外の奴に見せたらどうなるか分かってるよね?」
地を這うような低い声を出す貴俊。
返事も返せずズボンから手を離すと大人しく座る祐二。
ようやく極寒だった空気が和らいでいく。
ホッと息をつく麻衣の横で少々物足りない顔の陸が頬杖を付きながらチラッと横を見る。
麻衣の横に座る無愛想な男。
その向かいに座るのは小柄のショートカットの女の子。
「……でさ、さっきから通夜みたいな顔してるこの二人は何?」
陸の言葉で四人の視線は二人に注がれた。
―22―
[*前] | [次#]
コメントを書く * しおりを挟む
[戻る]