『君の隣』
 第二章 P34


「誰かに聞かれたどーすんだよっ」

「別にいーじゃん。ほんとの事でしょ〜?」

 焦る祐二に対して日和はからかって楽しんでいるようにしか見えない。

「で、何の用だよ」

「あぁコレ!」

 日和は紙袋を差し出した。

「何だよ」

 いかにも怪しげな茶色の紙袋に恐る恐る手を伸ばした。

 日和はなぜかニタニタと笑って早く開けるように促した。

 訝しげな顔をしながら袋を開けると祐二は中を覗き込んで入っていた物を取り出した。

「なっ、なっ、なっ…」

 取り出した物を慌ててまた袋の中に戻すとグシャグシャにして日和に突っ返した。

「何考えてんだよ!」

 周りに聞こえないように声を抑えて日和に怒鳴った。

「えー?俺から二人にプレゼント〜」

「プ、プレゼントって…オマエなぁ!」

 袋に入っていたのはローションだった。

 こんな…見た事はあったけど実際に手にするのは初めてだった。

「エッチする時必要でしょー?もしかしてもう持ってた?」

「も、持ってるわけねぇだろっ!」

「いったぁー!」

 祐二はつい勢いで日和の頭を平手で叩くと日和は頭を押さえてしゃがみこんだ。

「ご、ごめん…。でも日和が変な事言うからいけねぇんだぞ」

「変じゃないじゃーん」

 頭を擦りながら日和は立ち上がって祐二の両肩に手をポンと置いた。

「好きな人が出来たらエッチしたいって思って当然でしょ?」

 ニコッと笑って首を傾けた。

 祐二は言い返せずに黙り込んでしまった。

「貴だってそう思ってるはずだよー?特に貴はーずっと祐が好きだったんだしねー」

 ニコニコと笑いながらローションの入った紙袋を祐二の鞄の中に押し込んだ。

 ぼんやりとする祐二を置いて日和は手をヒラヒラと振りながら帰って行った。

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