『君の隣』
 第二章 P19


「じゃあな」

 貴俊の家の前に着くと祐二は挨拶をして自分の家へ帰ろうとした。

「祐二っ」

 貴俊は慌てて祐二の腕を掴んだ。

「寄って行かないのか?」

「お、おぅ。なんか疲れたからもう寝るわ」

 嘘だ。

 本当は貴俊と二人きりになるのが怖いだけだ。

 次は最後までしようと言われてこのまま貴俊の部屋に行ったらそれが"次"になるのかと思うと…。

 貴俊の事は好きだけど、まだ覚悟が出来ない…。

「祐二?なんでこっち見ないの?」

 貴俊は祐二が背中を向けたままな事に不快感をあらわにした。

 お前の顔見たら嫌って言えないからだろ。

「毎日寄らなくてもいいだろー。明日も会うんだしさ」

 祐二はこれ以上詮索されないようにと明るく軽い調子で言った。

 貴俊は祐二の言葉に眉をひそめた。

「それならこっち向いて言ったらどうだ」

 貴俊の言葉に祐二はビクッとした。

 俺の事なんてやっぱりお見通しなんじゃないかと思う。

「お前、何言ってんだよー!」

 祐二は振り向いて貴俊の胸を軽く小突いた。

「そんなに俺と一緒に居たいのは分かるけどよー。ったく明日の朝には会えるだろ!」

「祐二?」

 喋り続ける祐二に不思議な顔をした。

「じゃあな!また明日なっ」

 祐二は貴俊の腕をポンポンと叩くと足早に家の中へ入って行った。

 呼び止める間もなかった貴俊は仕方なく自分の家に入った。

「やばかった…」

 慌てて家に入った祐二はドアを閉めると大きく息を吐いた。

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