『君の隣』
 第二章 P18


 祐二が部活を終えて部室から出て来ると貴俊が外で待ち構えていた。

 あ…どこかを見ている横顔があまりにキレイで思わず見惚れていると貴俊がこっちを向いた。

「祐二、帰ろうか」

「おー篠田!幼なじみとはいえコイツの面倒見るの大変だろー」

「篠田と違ってバカだからなー」

 一緒に出て来たサッカー部員たちがからかうように笑った。

「もう慣れたよ」

 貴俊もそれに乗って笑って答えた。

「お、お前らなァ!!」

「じゃあなー!またなー祐二!」

 慌しく居なくなった後二人も歩き始めた。

「また部活サボってただろ」

「う、うるせぇ!サボってたんじゃなくてアレは休憩だ!」

 焦って言い訳をする祐二を見て貴俊が笑った。

「お、お前だってサボって外なんか見てんじゃねぇよ」

「へー俺があそこに居るって知ってたんだ?」

「はっ?生徒会長室くらい俺だって知ってるに決まってんだろ」

 コイツは俺がどんだけバカだと思ってんだよ。

「俺が見てる事も気付いたんだ?」

「いつも立ってグランドの方見てんだろっ」

「ふーん、いつも俺が見てるって事を祐二もいつも見ててくれたんだ?」

 嬉しそうな顔をした貴俊が祐二の顔を覗きこむ。

 ハッ…!またやられた〜。

 恥ずかしくなった祐二が早足で歩き始めた。

「照れなくてもいいだろ」

 平然と隣りを歩く貴俊が笑いながら祐二の頭を撫でた。

「バカッ!外であんまベタベタ触るなよ、変に思われるだろ?」

 貴俊の手を払いのけると祐二は小声で話しかけた。

「これくらいで誰も変に思わないよ。それに今朝は一緒に行けなかったから本当は手を繋ぎたいくらいなんだけど?」

 よくそういう恥ずかしい事を口に出来るよな。

「祐二は?寂しくなかった?」

 そんなの俺に聞かなくても分かってるくせに…。

 どうしてそんな事ばっかり聞いてくんだよ。

 黙り込んでいた祐二を貴俊が覗き込んで二人の目が合うと祐二は吸い込まれそうな瞳にドキッとした。

「月に一回…だけなんだろ?しょーがねーじゃん」

 貴俊が満足そうな顔で微笑んでいるのを見て祐二はさらに言葉を続けた。

「…でもあんまり女とベタベタすんなよ」

 この言葉にさすがの貴俊も頬を染めて遠くを見ながら小さく返事をした。

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