『君の隣』
 第二章 P5


「でー?どっちから告白したのー?」

 その日の学校帰りに日和は貴俊の部屋に来ていた。

 当然祐二もいて少々不貞腐れた顔でベッドに座り込んでいる。

 日和は今日はとことん二人の話を聞きだしてやると気込んでいた。

「そんな事聞いてどうすんだよー」

 どうにも恥ずかしくてぶっきらぼうな返事になってしまう。

「隠し事するのー?」

 日和にそう言われては今日の祐二は何も言い返せなくなってしまう。

「祐二諦めろ。日和には勝てないよ」

 貴俊はベッドにもたれて片膝を立てて笑っている。

 どうしてこんな時までそんな余裕の態度なんだよ。

 祐二は貴俊の後ろ姿に向って殴る真似をして見せた。

「告白したのは祐二からだったよな?」

「ち、違うっ!な、何言ってるんだよっ!」

 祐二は慌てて体を起こすと後ろから貴俊の口を手で塞いだ。

「えー?いっがーい、てっきり貴からかと思ったー」

「も、もう…いいだろぉ!」

 面白そうにしている日和に半泣きで懇願した。

「俺から言っても良かったけどそれじゃあ祐二は反発するだけだしね」

 口元から祐二の手を退かすと貴俊は笑いながら日和に返事をするのを聞いてますます祐二は恥ずかしい。

「だよねー?祐は天邪鬼だしぃーでもよく好きって言わせたねー?」

「これで案外素直で可愛いとこもあるから」

 貴俊の言葉に目を丸くした祐二を見て日和はクスクス笑った。

「じゃあーどこまでしたー?最後までしたのー?」

「さ、最後までって!お前何言ってんだよっ!意味分かんねーってばぁぁっ!!」

 祐二はパニックを起こしたように大声を出しながらベッドの上を転げまわっているが、あとの二人は全く気にしていない。

「ねーどうなのー?貴〜」

「さぁどうかな?俺は言ってもいいけど祐二がさぁ…?」

 い、言うのか?ってか言うなよ?

 そんな事他の奴に話すような事じゃないんだからなっ!


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