『君の隣』
 第一章 P14


 あれは言いすぎ…たよな。

 “気持ち悪い”なんて言うつもりなんてなかったけどなんか勢いでつい…。

 顔見たらすぐ謝ろう。

 さすがに気持ち悪いなんて言っちゃだめだよな。

 祐二は朝起きてから昨日の貴俊への言葉を反省し続けていた。

 いつもなら迎えに来て俺が飯食い終わるのを待ってるはずなのに…。

 なかなか現れない貴俊を祐二は時計と睨めっこしながらリビングで待っていた。

「貴くん遅いわねぇ?たまには迎えに行っちゃえ!」

 母親の一言で祐二は16年間で初めて貴俊を迎えに行くという行動を起こした。

 

 貴俊の家の玄関前で深呼吸。

 いつもだったらそのまま玄関のドアを開けて入って行くのだけど何となく呼び鈴を押した。

 すぐに返事が聞こえて貴俊の母親が玄関先に顔を出した。

「祐くん、おはよー。どうしたの?」

「お、おはようっす…貴…俊は?」

「あれ?もうとっくに出掛けたけど?」

 出掛けた?

 は?俺が置いて行かれた?

「祐くん?」

「あっ!今日は何か生徒会の仕事で早く行くって言ってたっけ…ははは」

 祐二はその場を誤魔化して回れ右をした。

 貴俊が俺を置いて行った?

 そんな事一度だってなかったのに…いつだってケンカしたって迎えに来てたのに!

 嫌な予感がして祐二は急いで学校へ向った。

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