『君の隣』
 季節『ある夏の一日'08』 P2


「バ、バカッ!」

 祐二はキスをされた首筋を押さえて振り返った。

 クスリと笑う貴俊は振り返った祐二の顔を押さえて朝とは思えない濃厚なキスをする。

「んっ…ふぅっ…」

 蝉の声に祐二の艶っぽい声が交じる。

 祐二は縋るように貴俊のTシャツにしがみ付いた。

「はっ、はぁっ…」

 最後にチュッと軽く唇を重ね貴俊の顔が離れた。

 キスだけで瞳を潤ませた祐二はトロンとした瞳で貴俊の顔を見上げた。

「きょ、今日は…外であんまりベタベタすんなよっ…」

 まったく説得力のない顔。

 だが貴俊はニッコリ笑って頷いた。

「でも…このままで水着になったら困るんじゃない?」

 何もかもお見通しといった表情で貴俊の手は祐二のショートパンツの中へと入っていく。

「バ、バカッ!止めろよっ…時間ねぇっつってんだろっ!」

「大丈夫だよ。ちゃんと電車に間に合うよ…それに…」

 貴俊は耳元に口を寄せた。

「口なら早く達かせてあげられるよ?どうする?」

 囁きながら貴俊の手の中の祐二はムクムクと大きくなる。

 なかなか慣れなかったが最近では貴俊の言葉に体が抗えなくなって来ていた。

 祐二は大人しくズボンを下着ごと下ろした。

「して欲しいの?じゃあちゃんとお願いしないとダメだろ?」

「う、うるせぇっ!さっさとしろよっ!」

 目を潤ませ目元を赤くした可愛い顔で可愛くないセリフを言う。

 それが貴俊を昂らせている事に祐二は気付くはずもない。

 貴俊は笑みを浮かべながらすぐに口に含んだ。

「うぅっ…んぅっ」

 先端を舌で転がしながら指で擦り片方の手は柔らかい袋を包み込み転がす。

 祐二の喘ぎ声の間隔が徐々に短くなってギュッと貴俊の肩辺りを掴んだ。

 上目遣いで祐二の表情を窺いながら口も手も動きを速める。

「出っ…出るっ…う、うぅっんっ!」

 可愛い声を上げて体を二、三度震わせた祐二。

 貴俊の喉が上下に動いてゆっくり離れた。

「思ったより早かったね?」

 クスッと笑い口を拭う貴俊に祐二の顔はみるみるうちに膨れた。

 さすがに怒るかなと思った貴俊はいい意味で裏切られた。

 祐二は貴俊の胸に頭をつけてTシャツにしがみ付くと小さな声で呟いた。

「た、貴俊が…部活で忙しいとかって…最近ちっとも…」

 貴俊はたまらず祐二の唇を奪った。

 抵抗する祐二の頭を押さえつけて深く舌を絡めて顔を離した。

「ぷはっ!お前っ!口でした後にキスすんなって言ってんだろっ!」

 祐二は口の中に広がった生臭い匂いに顔を歪めた。

 いつもの祐二に戻ったが貴俊の嬉しそうな顔は変わらない。

「帰って来たらいっぱいしてあげるね」

 カァッと顔を赤くした祐二の頬にキスをすると貴俊は立ち上がった。

「ほら行くよ。早くしないと電車に乗り遅れるよ」

「お、お前が余計な事するからだろっ!」

 二人分の荷物を持ってすでに部屋を出て行く貴俊の後ろ姿を慌てて追いかけた。


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