ヒルナンデス
舌が火傷するくらいスパイスをかけてもなんの刺激もしないの
「おいチチナシ腹減った 」
おいおいおいおい。腹減ったからなんだよなんなんだよこの人!!!なにその報告!いらないんですけど!!!!だからなんなの!!!!
「へえ……わたしはお腹減ってないや 」
「俺は減ってんだよ」
「ふうん……何か食べたら?」
「だから腹減ってんだからチチナシ、血をよこせ」
「ふ、ふざ!ふざけるな馬鹿野郎!なんて破廉恥なこと言ってんだ!!!」
「馬鹿野郎?おいこらてめえなんつった」
ギロリと睨みながらジリジリ近づいてくるアヤト君。いや待ってやめて今は無理だよだって今は……
「今はヒルナンデス観てるから嫌だあっちいって!!! 」
ヒルナンデスにつるの剛士出てんだよ大好きなんだよわたし
「ほう……お前人が腹減ってるつってんのに飯もくれねぇのか」
「いや待て待ってよ、ほら、いまわたしヒルナンデスを、」
「わかった 」
おおお!この俺様やっとわかってくれた!!!成長したね!?!?感動だよわたしは!!!
「お前はヒルナンデス観てろ、俺は飯を食うから 」
「おお!!!アイアイサー!」
するとアヤト君はわたしを押し倒し……押し倒し?
「え、まってなにこれなんで押し倒されてんのわたし」
「ちょっと黙ってろよ」
すると彼はわたしの首筋に顔を埋め
ガリッ
「!!!!!!!!!」
いった!え!いったい!!!!!痛い!!!痛いんだけど!!!!!!ガリッっていった!!!!ガリッって!!!!
液晶画面に目をうつすとつるの剛士がちょうどカレーライスを食べているところだった
『いやあスパイスがいい感じに効いててパンチ効いてますね』
ふざけるなこの野郎なにがパンチ効いてますね、だよ!!!!
ヘラヘラ笑ってるつるの剛士にイラつくわたし
「ちょっ痛いってアヤトく、 」
「痛いくらいが丁度いいんじゃねぇの、お前痛いの好きだろ」
「なにいってんだ貴様」
ヒルナンデスもゆっくり観させてくれないなんて……!!しかもガリッて噛みやがって!!!!!!
「もういいっアヤト君なんか嫌、んんっ」
嫌い
そう言おうとした瞬間突然口を塞がれて
アヤト君に目を向けると綺麗な瞳がわたしを捉えてて
ああ、待ってくれ。こんなときにキスなんかしてご機嫌取らないでよ、ヒルナンデスもろくに観せてもらえてないんだ、こんな、こんな色っぽい顔でキスなんか、するなよ!!!
「ふっんっ……ば、キスなんか、するなよ!!!!」
「ムカついた」
「はあ???」
「嫌いとか言うなよ」
おおおうふ……普段強気な奴がそんな弱気なこの言うなよ!!!!許すしかなくなるだろこいつ!!!!
だけど
自分の血の味のキスも悪くはない、かもしれない
「……もう一回」
「はっ、とんだ変態だなチチナシ」
二言目にはいつもの彼
なんの味もしない?
冗談じゃないわ
こんなにわたしの血の味してんじゃない
(明日のお昼は邪魔しないでね)
(なにがだよ)
(ヒルナンデス)
(調子に乗ってんじゃねぇよチチナシ、お前は俺の餌だろうが!)
(じゃあヒルナンデスはわたしの餌なので邪魔しないでね)
(てめえ……!!!)