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「おはよう、小波」
その声で目を覚ました俺の目の前には蟹…じゃなくて遊星がいた。
あのパーティーのあと話しかけてみればすっかり気が合ったので仲良くなったのだ
……だが俺は家の場所を教えていないし、玄関の鍵も掛けたはずだけど。
「お、おはよう遊星。昨日俺はお前に家の場所教えたっけ」
「いや、聞いてない。」
こいつさらっと返事しやがった。
「早く小波に会いたかったのと、少し心配になったのとで家を勝手に調べさせてもらった…すまない」
なんだって?俺に早く会いたかっただ?
「遊星っ!お前可愛いなぁ!!そんなにまでして俺に会いとかマジで萌えるし!ハァハァ」
俺より少し背の低い遊星をぎゅーっと抱きながらまだ完全にベッドから出ていなかった体をまたベッドに倒す。
「うわっ、小波!!」
「そういやさっき心配になったって言ってたけど、どうしたんだ?」
茹で蛸いや、茹で蟹のように真っ赤になった遊星が俺の腕の中で暴れる。うん、すごい可愛い
「最近ゴーストが出現しだしたんだ」
「ゴースト…?そういやニュースでやってるなぁ。デュエリストが襲われるって」
観念したのか大人しく説明し出す遊星。まだ茹で蟹だぞ。
「ああ、それで小波も腕のたつデュエリストだから」
「襲われないかと心配になった…と」
セキュリティも追っているのだか…と続けた遊星が少し思い詰めた表情をしてるのがあまり面白くないので尻を触ってやった。
「大丈夫だって!俺はそんな名の売れたデュエリストじゃねえし、狙われることなんてないって」
それを聞いて遊星の表情が柔らかくなった。
「そうか、それならいいんだか…やっぱり一緒についていってもいいか?
あともうそろそろ手を…」
「ん、後3分」
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