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「…オッホン、宴もたけなわとなってございます。ここで私、治安維持局副長官イェーガーから、皆様にご挨拶をば」
「あいつ、あの時逃げた…」
あの工場事件の奴じゃね?
「…ん?ああ、そうだ。ヤツはまだ使い道があるという事で生かしてある。
ドングリピエロめ!ホセのとりなしさえなければ、切り捨てていたところだ」
苦虫を潰した様な表情で舌打ちをしたプラシドを横目に俺は相変わらず突っ立っていた
「皆様ご存知のとおり、ネオ童実野シティは大きく生まれ変わりました。今やシティとサテライトの境界は消え、誰もがデュエルを楽しめる、理想の街へと変貌を遂げたのです。
それを世に知らしめるイベントとしてまず開催された、WRGPの盛況ぶりは、連日の報道のとおりであります。
そして、次にはいよいよWRGP!これらは、すべて未来への平和の架け橋なのでございます」
「フン、どちらもオレたちが始めさせた事だがな。オレたちの未来を救う、そのために…」
「…?」
「思い起こせば、ゼロ・リバースという悲劇もございました。だがしかし、我々人間は技術を進化させるものです。
モーメントはもはや危険ではなく、不可欠かつ身近なもの。WRGPのD・ホイールは、その象徴として、皆様に夢と情熱、興奮を与えてくれる事でありましょう!」
「…何が夢だ、ふざけやがって。モーメントこそ諸悪の根源、未来に災いをもたらすもの!
ただ欲望を肥大させ、力を求めて技術を進ませ、そして未来がどうなったか、考えようともしないのか!貴様ら愚かな人間どもの歪んだ欲望、歪んだ進化が、何を生み出だしたのか教えてやる。
このオレが、それを教え込んでやる!」
「え、ちょっ!」
ずかずかと歩き出すもんだから慌てて着いてった
「茶番はここまでだ!現れるがいい、ゴーストども!!」
『デュエル!バトル・ロイヤル・モード、オン!』
「なっ、何だぁあ!?」
「こっこれは、まさか…!ええい、何をしているのです!早く来賓の方々を、避難させなさい!」
瞬く間に会場は混乱の渦にのまれた
「フン、良い余興だ!このジャック アトラスが、まとめて退治してくれる!」
「はたして、そううまくいくかな?」
「何者だ、貴様!?コイツらの親玉か!」
「あ、あん時の」
「そうか、そうだったな。カフェでのデュエルの事は、このオレが、貴様の記憶から消してやったんだったな」
「何の話だ?」
「フッ…ならば思い出すがいい、あの恐怖を心の奥底に刻まれた、敗北の記憶を!」
「何…だと?このオレが震えている?こいつを怖れているとでもいうのか!?」『デュエル!』
「…!?くっ、おのれッ!!」
ゴースト達がジャックを取り囲んでいたので、嫌でもデュエルするしかないようだった
「ハハハハ!さあ、このデュエルは命がけだぞ!踊れ、デュエリストども!生き残りたければ、その命を燃やし、サーキットを描くがいい!」
プラシドは頗る機嫌が良かった。もうすぐ未来を自分の思うようにできるからだろう
「プラシド、この後はどうするんだ?」
「……」
「プラシド?」
またプラシドの気がどこかへ向いている様子だった
「…どうした?プラシド」
「いや、なんでもない。フフフ、それより見ろ、この反応ぶりを!待っていろ、人間どもにさらなる恐怖を味わわせてやる!」
「そうはさせない!」
「!?」
「お前がゴーストを操っているんだな!?なぜこんな、デュエルを汚すような真似をする!」
「来たか、不動遊星!デュエルキング、そしてシグナー不動遊星、貴様は、このオレがじきじきに相手をしてくれる」
最近の流れについていけない俺にも分かるよう説明ありがとう、プラシド。目の前の人物が誰かわかったぜ
「望むところだ!この街を、お前の好きなようにはさせない!」
「待つんだ、遊星!今のままのキミでは、まだヤツには勝てない!」
「お前は…?」
「何者だ!?」
「…誰?」
「私は、貴様たちを倒すためにこの世界…この時代に送り込まれてきた。イリアステルの野望を打ち砕くために!」
「何だと!?まさか、貴様も…?だとすれば、貴様の正体は何者だ!」
「…恐怖を感じているのだな、この私に。だが、消えゆく者に名乗る名前などない!」
Sチックなゴーズだな…攻め派?かな
「ほう…オレ好みの答えだぜ!ならば力ずくで聞くまでだ!小波、構えろ!タッグ
デュエルでコイツらをまとめて葬ってやる!」
「え、ああ、はいはいデュエルね」
俺、場違いだよな。雰囲気が
「すまない、下がっていてくれ。この街は俺が守らなくてはならないんだ」
「…やむをえない、キミが戦いの中でクリア・マインドに目覚める事を期待するしかないようだ。ともに戦おう、遊星!この世界を、やつらイリアステルから守るために!」
スッゴい悪者だなぁ…俺ら。
「「デュエル!!」」
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