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 立向居くんの活躍に歓喜しているみんなを余所にナマエを見やれば頬を膨らませてちょっと不機嫌だ

「ナマエどうしたの?」
「……さっきの技私知らないんだけど」

 さっきの技と言うのはウルフレジェンドのことだろう、今まで習得した技はお互いに見せ合ってから試合で使っていたからナマエが頬を膨らませるもの無理は無い
 だって内緒で作った技だし、とは言えず、拗ねているナマエがあまりにも可愛くて思わず笑えばナマエも機嫌を良くしたのか笑顔に戻った
 それから何かを企むような含みのある笑みに変わったのを見て僕の背筋が凍った、いやいやそんなまさかね
 おもむろに立ち上がったナマエにその場にいたみんなが注目し、まさかと焦りを見せた

「士郎! 受け止めてね!」
「ナマエ!?」

 そのまさかな事態が起きた、ナマエが助走をつけて高台から飛び降りてきたのだ
 みんなが慌てふためく中、僕だけは冷静にならないといけないと必死にナマエが落ちてくるであろう地点に急いだ

 ナマエをしっかりと抱きとめ尻餅をついた僕の顔はきっと疲れ果てているだろう、そんな僕とは対照的にナマエの表情は生き生きとしている
 ナマエに怪我がないことを確認した僕が安堵のため息を吐けばジェネシスを含むその場にいた全員が胸を撫で下ろした

「ナマエの馬鹿! 何であんなことしたの!」
「士郎なら受け止めてくれるって信じてたから」

 自信に満ち溢れた笑顔を見れば色々と言いたいこともあったが、もうしないでよ、と力のない言葉しか出なかった
 ドレスを着て僕の上に乗っているナマエはとても綺麗で、みんながいなければ理性は無かったと思う

「ナマエってば勇気あるー!」
「もうナマエちゃん無茶しすぎ!」
「ナマエってそんなキャラだっけか?」
「うん、私も吹っ切れたの!」

 財前さんの言葉に頷いたナマエ、吹っ切れたというのはつまり過去と対峙したということだろうか

「ナマエ……」
「詳しい話はまた後でするわ、士郎、今までありがとう」

 僕も完璧と言う言葉の意味を知った、ナマエも過去と対峙し前世の記憶と向き合った、眼に涙を溜めながら微笑むナマエを抱きしめた
 苦しいよ、なんて言われたが力を弱めることなんて出来なくてごめんと謝りながら肩に顔を埋めて僕も少し泣いた


 ナマエは試合には出ず雷門ベンチで見守ることになったのだが、これ以上柔肌を晒し続けるのは僕が嫌だったので僕のジャージの上を着せた
 それから敦也の形見であるマフラーをナマエに持っていてもらうことにした、敦也もその方が嬉しいだろう
 もうアツヤの声は聞こえないけど僕にはナマエが、仲間がいるから大丈夫

 試合を再開しようとしたところに鬼瓦刑事が現れ、エイリア石からエナジーを送る装置を破壊したと知らされた、ジェネシスの快進撃もこれで終わるのだとみんなが安堵する
 しかし不利になったと思われたジェネシスのメンバーや吉良とその側近は笑みを浮かべているではないか

 ジェネシスがエナジーで強化された人間ではなく、強化された人間相手に特訓し強くなった普通の人間であることが明かされた

「ジェネシスこそ新たな人の形、ジェネシス計画そのものなのです」
「お前の勝手でみんなの大好きなサッカーを悪いことに使うな!」
「君たちに、崇高な考えの父さんを理解できるわけない」

 キャプテンの声もグランの言葉に一蹴され、即座に流星ブレードを打ち込まれる
 即座に綱海くんたちのパーフェクトタワーで食い止め、ボールはキャプテンから僕へ回り、ウルフレジェンドで再びゴールを狙った
 しかし今度は時空の壁という技でボールは跳ね返されそのままグランの元へ、スーパーノヴァを繰り出され進化したはずのムゲン・ザ・ハンドが破られてしまう

「我ら、ジェネシスこそが最強ということだ」


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