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「そ、そんなん今度でいいだろ!」
「もう無いんだから仕方ないだろ、わかんなかったら店員に聞けよ」
「私たちは外で待ってるから」

 行ってこい、と無理やり店ん中に押し込まれる、まじありえねぇ、そんなもん元に戻ってから買えよ、もしくはヒロトに買いに行かせろ、あいつなら喜んで行くぞ

 ドラッグストア内は冷房が利いているからかひんやりと肌寒かった、出している肩がぶるっと震える
 さっさと終わらせちまうのが一番だ、俺はさっそくそれらが置いてあるコーナーに急いだ
 袋に入ってずらりと並んでいるそれらは男なら無縁のもので、羞恥から俺は顔が熱くなっていく、冷房が寒いとかもうわからない
 くそ、今俺は女なんだ、大丈夫だ、問題ない、渡された紙に書いてあるのと同じ商品名を探して手に取る、さっさとレジ行こうとレジの手前まで来て携帯が鳴った

『あ、名前? もう一つ買ってきてほしいもんがあるんだけど』
「なんだよ、こちとら恥ずかしくて死にそうなんだよ」
『コンドーム買ってきて』
「えっ、ちょ、ま」

 ぶつ、つーつー、通話が切られた、仕方なしにあれを手に持ったまま避妊具売り場まで行っていつも使ってるやつを一箱掴んでレジまで持って行く、なんつーかレジの人が女で良かったとか考えてしまった
 渡された紙袋を持ってそそくさと店から出ればにやにやと俺を見ている二人がいた

「名前、ご苦労様」
「顔が赤いぞ」

「こっ、このやろう!」

 恥ずかしさが爆発した俺は顔が赤いまま走り出す、後ろから荷物持てよって声が聞こえたがそんなの無視だ!
 三分もたたないうちに息が切れて立ち止まる、肩で息をする俺、女の身体っていうか名前の身体が運動不足なだけか
 深呼吸をして落ち着かせていると後ろから足音がして程なく名前たちが追いついた

「さすがサッカー部、足早いわ」
「お前の体は、運動しなさすぎ、だ!」
「それより、米を買いに行くんだろ」
「そうだったぜ、ほら名前行くんだぜ、早くするんだぜ」
「俺そんなキャラじゃない」

 ほら、と荷物を渡され渋々受け取れば空いている方の手を繋がれる、自然な行為が何か嬉しくて繋いだ手を強く握り返した


愛とは無償のものなり


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