×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

悪夢を見ました(ヒロイン視点)


 私は独占欲が強い、だから明音が女の子と話してるだけでもはらわたが煮えくり返りそうになる、たとえそれが私の友達でも、彼氏もちでも例外ではない
 だけどこんなにみみっちい女だなんて明音に知られたら嫌われるのは目に見えている
 なので私は普通に女の子をしている、醜い自分は見せたくない、明音に嫌われるくらいなら死んだほうがましだと思えるほどに好きになってしまったのだ

 でも明音は私のことなどそれほど好きではないのだろうか、最近はそんなことばかり考えてしまうようになってしまった
 明音は押しに弱い、だから私と付き合っているのも仕方なくだろう

 というか私たちは本当に付き合っているのだろうか
 付き合いだしたのだっていつの間にかだったし、気づいたらそんな関係になっていた、ように見えていたからいまさら否定なんて出来なくて仕方なく私と付き合っているのではないだろうか、そう思えて仕方がない

 私と明音は所謂幼馴染みというやつで、小中高と同じ学校に通っていた
 高校だってもっと近くのがあったのに私が片桐に行くと言いだしたので明音も一緒のとこに行くと言ってくれたのだ、バスで結構かかるのに
 それを聞いたときに私は明音に恋をしたのだ、今思えばなんて単純な女だろう、明音にそんな気なんてないのは知っていた、ただ知ってる人がいない高校に行きたくなかっただけなのに
 無事片桐に入学した私と明音は毎日一緒に登下校していた、それだけで良かった、一緒にいるだけで幸せだったのに、「明音が吉川さんに告白事件」が起こった
 まさに青天の霹靂だった、明音に吉川さんに告白して振られた、と聞いて私は明音のことを何も知らないということに気づいた
 その日は気分が悪いと言って翔の家で一日中愚痴っていた、あの時は悪いことをしたなぁ
 それから明音に対する接し方がちょっとよそよそしくなってしまったりしたけど、なんやかんやで付き合っているみたいな感じなったわけですよ

 とまあそんなことはおいておいて、本題は明音が私のことを好きかどうかという問題で、明音から好きって言われたことない
 まあ恥ずかしくて私から好きって言ったことも殆どない
 でも私ばっかり好きで、明音はそんなそぶり見せてもくれない、やっぱり私のこと好きじゃないんだ、私のことめんどくさい女って思ってそう

「はあ、死にたい……」

 というか考え事をしていたら朝になってしまった、眠い上に気分が悪い、自己嫌悪に入りそうだ
 今日は学校休もう、そう考えて明音にその旨のメールを送る、きっと明音は今日も寝坊するだろうし翔にも送っておく
 悪いこと考えないうちに寝てしまおう


「名前、別れましょう」

 え……?

「疲れちゃったんです、独占欲の強いあなたには」

 嫌だよ、そんなこと言わないで……

「大体僕はあなたのこと好きだなんて言ったことありませんし」

 そうだけど、でも……!

「もう話しかけないでください、名字さん」

 待ってよ明音!

「うわあああああああああっ!」
「うわぁっ、名前どうしたの!?」
「ゆ、夢……?」
「名前うなされてたよ、具合でも悪いの? もう少し寝てた方が良いんじゃない?」

 夢、だったのか……、それにしても妙に現実味のある悪い夢だ
 じっとりと変な汗が流れるのがわかる、怖い、胸が苦しい、あんなことが現実で起こったら本当に死んでしまいそうだ

「っていうか、明音……?」

 起きたらベッドに腰をかけて私を心配そうに覗いている明音の姿があった、何でいるんだろう

「今日休むってメールあったから心配になって来てみたらうなされてたんだ」
「……嫌な夢見た」
「どんな?」

 あ、話したくなかったら言わなくてもいいよ、と焦っている明音
 話したくないけど話したい、意を決して口を開くと自然と明音が手を握ってくれた

「明音に別れを告げられて、必死になって追いかけるんだけど追いつかなくて、」

 明音が驚いたように私を見る、でもまだ終わってないんだ、ぽつりぽつりと言葉を搾り出してく

「明音が敬語になって、私のことを名字さんて呼んでて」
「名前……」
「こ、怖かった、明音に捨てたれたんだってことが、胸苦しくて死にたくなった……」

 最後まで言い切った私は明音に握られていないほうの手を胸に当てる、心臓の音が酷く五月蝿い
 もういっそのこと自分の本性をさらけ出して嫌われてしまったほうが楽だと思えるくらいに心臓が痛かった

「名前……、」
「あか……えっ!?」

 気づけば明音に抱きしめられていて、明音の匂いに包まれていた、明音の心臓の音が聞こえる
 私が慌てると明音が何かを言い出した、きっと私の顔は赤いだろう

「僕は名前と別れるつもりなんて一切ないから、たとえ名前が別れたいって言っても離すつもりなんてないから」

 だから安心して、そう聞こえてからやっと私は解放された、肩をつかまれて身動きは取れなかったけど明音の顔はよく見れた

 私と同じくらい赤かった


 戻る