高級デザート(桜視点) 「うーん……」 私が生徒会室に行くとレミが唸っていた、何かを考えているような感じで 仙石くんの姿がなかったのでどこかへ出ているのだろう、それにしても何を考えているのだろう 「レミ……」 「高級デザート!」 「わっ!」 「あれー、桜だ」 どうしたの? と首をかしげるレミ、私のほうが聞きたいよ…… というか高級デザートって何だろう、食べたいのかな? 「ねえレミ、高級デザートって何?」 「え、ああ、名前ちんのことだよ!」 「名前?」 「そう! やなぎんは高級食材でしょ、だから名前ちんは高級デザートなの!」 自信満々と言ったレミ、でもなんとなくわかるかも、私も同意するとレミがえっへんと胸を張った まあ、柳くんと一緒で興味が尽かない存在で、スタイルも良くって色んな面を持っているからデザートって感じ、なんか甘そう 二人で名前について語り合っていたら仙石くんが入ってきた、すかさずレミが仙石くんに言う 「ねえ仙石くん! 名前ちんは高級デザートだと思うの!」 「はあ?」 そのときの仙石くんの顔といったら、放送できないほどゆがんでいたわ、なにがあったの…… そういえば仙石くんは名前の従兄弟だったのよね、過去に何かあったのかしら 「レミ、奴はデザートなんて可愛いもんじゃない」 「えー、でも甘そうじゃん!」 「名前は甘くなんてない、からい奴だ!」 必死すぎてちゃんとした文章になってないよ仙石くん、からい奴って何? レミも訳がわからなくてきょとんとしている そして高級な部分は否定しないのね、暗い顔をした仙石くんはかばんを床に置いて椅子に座った 「桜も名前をデザートだと思っているのか?」 「う、うん……?」 「もうレミ訳わかんない!」 「レミ、よく聞け、名前は小さいころから俺の家に泊まりに来ては俺をいじめていたんだ」 「イトコだもん、家に泊まるのはおかしくないよ?」 「あるぇー? 最後の部分聞いてた!?」 仙石くんが哀れすぎてもう何にも言えない、机に突っ伏している仙石くんに心の中で謝っておく、絶対伝わってはいないけど とりあえず自分の中の罪悪感を消したところで誰かが生徒会室に入っていた 入ってきたのは話の元凶である名前と柳くんで、レミのテンションが更に上がる 「あー! 名前ちんにやなぎん!」 「レミちゃんさっきぶりー」 「あ、みなさんこんにちは」 桜もさっきぶりー、と笑顔で軽く手を振ってきたので私も振り返した、名前は仙石くんに近づいていく、仙石くんの顔は見る見るうちに青くなっていく きっとさっきので過去のトラウマ的なものを思い出してしまったのね、哀れ 「チキンハート翔、今日家寄ってくから」 「はあ!? 何で来るんだよ! つーか、それくらいメールでいいだろ!」 「メールしようと思ったけど生徒会室の前通ったからいいかなーって、ちなみに家寄るのは母さんの用事でちょっと寄るだけ」 それだけ言うと名前は明音行こー、と生徒会室を去っていった、嵐のような一瞬の出来事だった 仙石くんは大きなため息を吐いた、レミはそんな仙石くんの写メをと撮りまくっていた、やっぱり今日の仙石くんは全体的に哀れだわ |