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 吹雪いている山頂からレッドを引きずりシロガネ山の内部に入ったナマエは木をくべ燃やす

 再会を果たした後、ナマエが何も言わずレッドの腕に触れると余程体温というものがなく、雪のように冷たかった
 体温を戻すための最善策とし、洞窟内の比較的温かい岩場で暖をとる
 パチパチと炎が燃え上がる音とお互いのポケモンがじゃれ合う声のみ
 先ほどの、到底会話として成立しないであろう短い言葉から二人は一言も発することなくいる
 そんな沈黙が続く中、ただ自分を見つめているレッドに痺れを切らしたナマエが口を開く

「どうしてここに、って言いたそうね」

 咎めるような言い方に、仲むつまじくじゃれ合っていたポケモンたちも静かになる
 レッドは動揺も焦りも見せずにただナマエを見つめるだけ

「あんた有名なのよ、オカルトマニアの間では、『シロガネ山の紅い幽霊』ってね」
「…………何で来た?」

「久しぶりに会った幼なじみに対していう言葉がそれ?」

 レッドが口を開いたかと思えば来た理由を求められた
 それを聞いたナマエは焚き火に薪を放り投げ、しれっとした態度で聞き返す
 決して雰囲気が良いとは言えなく、再び沈黙が場を支配する

「会いに来たに決まってるでしょ」

 ぽつりと呟いたナマエ、俯いているので表情は分からない
 横目で彼女を見やったレッドはただ一言、そうか、とつぶやき返す
 どんな気持ちで会いに来て、どんな気持ちで先ほどの言葉を呟いたのか、レッドはもちろん、ポケモンたちにも分からなかった

 きっと昔の、幼なじみという言葉がしっくりきていた時代のナマエならば説教まじりの文句を言っているところだ
 それが無いのは彼女が大人になった証拠であり、彼もまた大人になっている証拠なのだ

 レッドはチャンピオンになってから失踪していて彼女が現在チャンピオンになっていることは知らない
 それと同じようにナマエも彼が失踪している間どのような生活をしていたのかわからない
 短いようで長い年月は二人の間に大きく深い溝を造ってしまっていた

 二人はただただ燃え盛る薪を見つめることしか出来なかった


3年とちょっとという長い月日が経ったのですよ


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