▼瞳子妹が農大に通う01 ・沢木が菌が見えなくなった時 「ねえ名前、あたし何か間違ったこと言った?」 「うーん、不正解じゃないけど決して正解とも言えないって感じかな」 「それってどういうこと?」 「遥さんは人が人を評価するのはその人の能力だって言ったけど……じゃあ遥さん、私を評価してしてよ」 「……あんたは成績優秀で研究熱心、経営術にも長けている、好奇心旺盛でたまに突拍子のないことをしでかしては失敗するけど成功することの方が多い、あと誰よりもあたしのことを理解してくれているし、どんなことがあっても負けない強い子、少し引っ込み思案な所も可愛いし容姿も……!」 私の評価を口にしていて気付いたみたいだ、やっぱり遥さんは聡明だ、そして遥さんにそんな誉められたら照れちゃうね 人が人を評価するのはその人の能力だけじゃない、もちろん秀でた能力を持っている人はそれも評価の対象となるが結局はその人の人間性を評価する事になるのだ 例えば、どんなに物覚えの悪い人でも一生懸命覚えようと努力していれば評価される、これは日本が結果主義ではなく過程も見てくれる国だから、もちろん結果も大事だが 能力が無い人でも人間性がしっかりしていれば評価されるし、その逆で、どんなに秀でた能力があろうと人間性が最悪だったらその人の評価も下がるわけだ 小学校で貰う通信簿だってそう、能力が成績として評価されているが同じように協調性があるか授業態度はどうとか、素行の評価もされている 最近は絶対評価が主流となっているのでテストでの成績だけではなく授業態度などを加味した評価となっている、だからテストの結果が悪かろうとしっかり授業を受けていれば評価は上がるのだ ご丁寧に最後は先生の言葉でこの子は積極性がいまいちなのでもう少し自信を持ちましょうなんてことまで書いてくれる 沢木くんの能力は全人類を探し回ってもいるかいないかってほど貴重なもの、だけどそれを失ったからといって沢木くんの評価がゼロになったわけではない 美里くんや川浜くんは能力はおまけだと言った、これは彼らが沢木くんの人間性を評価しているということ、いい先輩を持ったね 遥さんは沢木くんと接している時間が短くて能力しか知らない段階、彼の人間性を知るにはまだまだ時間がかかると思う つまり何を言いたいのかと言いますと、沢木くんを評価するには時期尚早であるということを私は言いたいのだ まあ遥さんの育ってきた環境があれだからそういう評価方法になってしまうのは仕方ないかもしれない、私は遥さんにとって特別だから例外ってことで 遥さんが私の評価をしたときに良いことばかり言ってくれたのは遥さんが良い人で、人の良い部分を探す能力が長けているから 「そんな遥さんならきっと沢木くんの良い部分をいっぱい見つけられるよ!」 「……仲直りってどうやってするの?」 「仲直りかぁ……」 私の場合というか私たち兄妹の場合喧嘩とかしたら、自分が悪かったと思った方から抱きついて謝ってたっけか、この方法だと相手に顔見られなくて済むから謝罪の言葉も出やすいんだよね それを聞いた遙さんは意を決して、沢木くんと仲直りするようだ。 だけどこの方法ってして親しい人じゃないと意味ないよね、面白いから言わないけど でも沢木くんって童貞っぽいし遥さんに抱きつかれたらびっくりしちゃうかも |