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▼野球少年と文学少女04

 彼女は俺と同じように地面に尻餅をついたっぽい、でも次の瞬間には立ち上がっていて、謝罪の言葉をもう一度言って、急いでいるから、と俺たちの前から去った
 俺はというと未だに地面に座っている状態で口を開けて彼女のいた地面を見つめていた
 それから山ちゃんに話しかけられてやっと腰を上げた、彼女な何者だったのだろう
 ベッタベタだが、たぶん、一目惚れ、かもしれない、いや、たぶんそう
 学校の玄関とグラウンドはちょっと離れていて、俺たちは急いだ、と言ってももうほとんどグラウンドは見えている、みんな整列してるし!
 今は名字さんよりも彼女の方が気になった、彼女は何者だったのだろう
 急いで校舎に入っていったので前の時間に体育だったクラスの子だろうか
 和己や前ちんのクラスの子かもしれないから今度聞いてみよう

「本やん大丈夫だった?」
「え、なにが?」
「さっきぶつかったじゃん」
「ああ、大丈夫、どこも怪我してないし」
「それもあるけど……」

 話しながら整列しているクラスメートたちの最後尾に並んだ、並び方は決まっていたけど今は並ぶことを最優先した、他の奴らも好きな奴どうしで並んでるし
 山ちゃんが若干にやにやしだした、なんなんだよ気持ち悪いなあ
 すると次の瞬間、山ちゃんはとんでもないことを口にした
 先生は今日のソフトボールについて説明をしていた

「あの子に惚れちゃった?」

「……はあああぁっ!?」
「うるさいぞ本山!」
「す、すんません!」

 山ちゃんのせいで先生に怒られてしまった、周りの生徒と山ちゃんがくすくす笑うので顔が熱くなった、くそう……
 山ちゃんを睨むと、図星かあ、とまたにやにやされた、なんか恥ずかしい
 先生の説明が終わって準備体操をするためにみんなが体操隊形に広がる、俺もみんなに合わせようと数歩退いた時だった

「先生、持ってきました」

 さっきぶつかった彼女がグラウンドに入ってきたのだ
 先生に出席簿を渡していたことから、ただ単に先生に頼まれて出席簿を取りに校舎に入っていっただけらしい
 彼女を見つめていたら転びそうになってしまった、危ない危ない
 ちらりと山ちゃんを横目で見ると相変わらず俺を見ながらにやにやしていた


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