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▼野球少年と文学少女03

 部室で名字さんについて話した日から一週間が経った、俺は未だにあの文章を忘れられずにいた

「本やん次の体育は外でソフトだってさ」
「男女混合?」
「いんや、グラウンド一緒に使うみたいだけど」

 前の教科の板書が少し遅れた俺は急いでジャージに着替えながら山ちゃんの話を聞く、山ちゃんは俺の前の席に後ろ向きで座ってる
 ちなみに女子は更衣室で着替えている、男子も更衣室はあるのだがみんなめんどくさがって教室で着替えてるってわけ
 俺のほかにも着替えてる奴はいて、みんな山ちゃんの言葉が聞こえたらしくソフトボールに対する意見をぶつぶつ呟いているのが聞こえた
 着替え終わった俺は山ちゃんに促されグラウンドまで急ぐ、途中で山ちゃんの口からとんでもない言葉を聞かされてしまった

「あ、そーだ」
「何? 山ちゃん」
「今日の体育慎吾のクラスと合同だってさ」
「えっ……」
「名字さんに会えるじゃん!」

 この前の部室で名字さんの情報に対して過剰な反応をしてしまったので山ちゃんと慎吾にとなくバレてしまったのだ、俺が名字さんに興味津々だということが
 まあいずれバレるのだからいつばれてもいいんだけど……、でも勘違いしないでほしい、俺は名字さんに惚れているわけじゃない
 名字さんの文章に興味があるのであって決してそういうわけではない、大体顔も性格もわからない相手に惚れるなんて……

「あ、本やん」
「山ちゃんどうし……うおっ!」
「きゃっ」

 どんっ、考え事をしていたせいか人とぶつかってしまった、声からして女子だろう、怪我とかしてないだろうか

「すみません、考え事して、て……」

 俺は言葉を失った、ぶつかった相手に謝罪をしようと目を開けて、相手を見たら言葉が止まってしまったのだ

「私こそごめんなさい、注意不足だったわ」

 色素の薄い茶髪をポニーテールにして、学校指定の長いャージを身に纏う女の子
 整った顔立ちで、可愛いというより綺麗だった


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