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▼ちび涼野05

 次の日、この体では学校へは行けないのでとりあえず今日は風邪で休むということにした、幸い明日は土曜日、部活を休めば日曜日に部活はないので何とかしのぐことができる、それでも戻らなければそのとき考えるとしよう
 学校へ行く名前を見送ってからソファーに座りテレビをつける、朝方ともあってかあまり面白い番組はやっていない
 唯一アニメを流しているチャンネルがあった、自称高校生探偵の男が薬を飲まされて小さくなってしまうアニメの再放送だった

 改めてこのアニメを見て思ったがわたしの境遇そのもののようだと感じる
 それこそ名前は幼なじみではないがわたしが名前のいる中学校に転入したころから高校二年の今に至までずっと一緒のクラスだった
 なにより彼女は空手部に所属している、あののんびりとした性格からは到底連想されない単語ではあるが彼女は都大会でも優勝している強者なのだ
 わたしたちが付き合い始めた頃に名前が呼び出しをされたことがある、しかし呼び出した女子数人をたった一人でのしてしまったという武勇伝を持っているほどだ、ちなみにその女子たちは彼女のファンになっていた
 そう考えるとますます境遇が似ている、これで殺人事件なんぞが起きた日にはわたしはどうすればいいのだ



「それにあいつ……孤児、だしよ」
「そうそう、親いないし施設育ちだし……」
「!」

 事実なのだから今さら何を言われようと動じずにいられると思っていたが、改めて聞かされると彼女とわたしの生い立ちには天と地ほどの差があるのだ
 片や裕福な家庭に生まれ育った彼女、片や両親を亡くし孤児院で暮らすわたし、これほどまでに違うのに彼女はわたしを選んでわたしの側にいてくれる
 重くのしかかる事実という逃れられぬ過去、わたしは全身の毛穴から汗が吹き出そうな感覚に陥り不安の色を宿した目を彼女へと移す
 彼女はいつもの柔らかい笑みでもなければ怒っている様子も見せずただ無表情で男子生徒二名を見ている

「親がいないことは悪いことなの? ねえ、親がいることがそんなに偉くて立派なの?」
「えっと、」
「相手のいないところで悪態をつくあなた達よりも風介は数百倍強いわ」


力尽きました


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