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▼ちび涼野01

 困った、というのもわたしの体に異変が起きたのだ、その日はいつも通り学校へ行きつまらない授業を受け流し部活で流した汗を拭うべくシャワーを浴び夕飯までの時間を部屋で寛いでいたらその異変は起きた

 いつの間にか寝ていたらしく部屋の時計を見やれば間もなく夕食の時間だった、どうも動きづらく視界が狭く感じる
 どうしたものかと携帯電話に手を伸ばしてやっと違和感を感じた、いつもならすんなりと手が届く位置にあるはずの携帯電話が遠く感じるのだ
 懸命に手を伸ばしても届く気配がなくそこでようやっと気付くことが出来た
 わたしの腕が異様に短い、手のひらを見つめてもいつもより小さくまるで幼稚園児のようだ、動きにくい体を無理やり起こし自らの体を確認する、着ているものはだぼだぼとしており短パンとTシャツで寝ていたはずが手のひらと足の先がちょろりと出ているだけになっていた
 シングルサイズのベッドも広く感じる、視線を上げたところで窓に映った自分の姿を見ることになったのだがそこにいたのは幼いわたしだった


 わたしは幼くなってしまったこの姿を園の誰にも見られたくなかった、特に晴矢とヒロトには死んでも見られたくなかったのでとりあえず名前の家に行くことを決心した
 夕食の時間になりわたしがいなければ誰かが必ず呼びに来る、そう考えたわたしの行動は早かった
 必要なものを持って行くために普段学校へ持っていくカバンに荷物を詰めようとしたのだが今のわたしには予想以上に重くて大きかったため断念
 仕方なく小学校の家庭科の時間に製作したナップサックに携帯電話と下着だけ入れた
 園では子供服は滅多なことがない限りおさがりだ、わたしの着ていた服も例外ではなくて、何が言いたいのかと言うと今のわたしに合うサイズの服を有していないということだ
 わたしが持っているもので一番一番小さいサイズの服をだしてもなお今のわたしには大きかった
 背に腹は代えられぬ、それでよしとしたわたしは机上に名前の家に泊まる旨を書いた紙を残し部屋を出た
 わたしの部屋は広間や食堂からは比較的遠い方なので出て行くのは楽だった、だがいつ誰かに見つかるやもしれないと思うと妙に緊張してしまった

 スニーキングミッションを成功させたわたしは名前の家へと急いだのだがいつもは二十分程度で着く道のりも幼い体ではいつまでも経っても着く気配がない
 それどころか空は段々と暗くなりいつも見ていた景色も違って見えてしまい恐怖心さえ芽生えるほどだ
 あのコンビニを曲がればあとちょっと、そう自分に言い聞かせずり落ちるズボンを引っ張り上げる、足を早めてコンビニを通り過ぎたときだった
 不意に背後から声が聞こえた、その声は誰よりも聞き慣れたソプラノで緊張したわたしの心を和らげてくれる愛しい人のものだった

「あれ、ちっちゃい風介だー」


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