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▼写真部部長と大型犬03

 練習の終わった野球部員は部室で着替えていた、本日は普段とは違い写真部の活動も兼ねていたということもあり、部室での話題は写真部のことで持ちきりだった
 男所帯の野球部では特に女の子の話ばかりが盛り上がりを見せていた
 自分の打ったボールが写真部の部長に当たりそうになったということもあったせいか、いつもは率先して話題に入ってくる利央も今日ばかりは大人しい

 それに気づいた島崎が、からかうように話しかける

「聞いたぜ利央、お前の打った球が写真部の子に当たりそうになったんだって?」
「もー、慎吾さんからかわないでくださいよ、ほんとにびっくりしたんすから!」
「可愛い子だった?」
「かわいいと言うより綺麗な人でした……あ、その人写真部の部長らしいっす」

「じゃあそれ名前じゃね?」

 背後から掛けられた声に二人はびくりと肩を揺らす、振り返れば声の正体は本山で、山ノ井が顔を覗かせ口を開く

「名字名前、写真部部長で俺らのクラスメート!」
「あー、名字かー」

 島崎を含む今の二・三年生には彼女の業績が知れ渡っているので山ノ井の一言に納得がいったようで頭を数回うなずかせた
 島崎もその存在を知っている名字名前という人物に利央は不思議だったようで、首をかしげる

「あ、もしかして利央、名字が気になる感じ?」
「は、はい、ちょっとだけっすけど……」
「明日俺たちのクラスおいでー」
「はい!」

 このときの利央はまだ気づいていなかった、自分の中に生まれた感情を
 次の日、彼女に再び出会った彼は彼女に対しての感情の名前に気づくのだった


恋もよう



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