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▼半田真一の災難01

「ねえ真ちゃん、松野紹介してよ」
「ねえ半田、名字紹介してよ」

 同一日、別の場所で、二人の男女にそう言われた、男の方は松野空介という中学の頃からの腐れ縁で、女の方は名字名前という幼稚園の頃からの腐れ縁

 俺の二人の腐れ縁がどうして高校二年生に至る現在まで出会わずに過ごして来たのかと言うと、ただ単純に名前が私立の中学に行っていたからだ
 小さい頃は真ちゃん真ちゃんと俺の後を付いてくる妹のような存在だったのだが中学に上がると同時に疎遠になり、高校で再会を果たした頃には変わり果てた姿となっていた
 いや、不細工になっていたとかそういった意味ではなくて、むしろ綺麗にはなっていた
 親譲りの整った顔立ちにスタイルの良い体、特に胸の辺りは小学校の卒業式の日に比べたらずいぶんと豊満になっていた

 俺はサッカーで忙しかったし名前の通っていた私立は少し遠くて中々会うことがなかったのだが、高校の入学式当日にクラス表で名前の名前を見つけてまさかと思い教室へ入ればお決まりの真ちゃーんという甘ったるい声と共に俺は抱きしめられていた
 ついでにいうと一緒の高校に受かったマックスは隣のクラスだった、マックスは中学のときとは違いどこの部にも入ることなく持ち前の器用さで様々な部活の助っ人を嗜んでいる

 そしてもう一つ変わり果てていたのは名前の性格だ、誠に残念なことだが名前は所謂ビッチになっていたのだ
 まあ小学生のときも自分の容姿の良さを利用して宿題を忘れた時の罰を逃れたりと色々とあれだったが、中学を経て高校で再会した時にはビッチに拍車がかかっていた
 さらについでに言うとマックスも中二のころに比べて性格がひどくなっていった
 一言で言えばヤリチンだ、マックス曰く可愛い容姿に惹かれてそのままことに運ぼうとするお姉さんに色々教えてもらった、だそうだ

 そうこうしているうちに時が流れて現在は高校二年生、二人はお互いの存在を噂でしか知らなかったらしく、今になって俺を通して知り合おうとしているのだ

 そう、この物語はヤリチン松野空介とビッチ名字名前、そしてあれよあれよという間に巻き込まれてしまった俺こと半田真一、この三人を中心に進んでいく話である
 とまあ大それたことを言って壮大な物語っぽく見せてはいるが要約すると、ただ性事情にゆるい男女の恋物語である


 といった具合に本来ならばこれで一話目を綺麗に締めるはずなのだが如何せんこの話には続きがある
 え、一話目って何のことかって知らないよ、メタ発言じゃないからな

 とりあえず二人にお互いを紹介するべく三人とも予定の空いていた金曜の放課後、喫茶店へ赴いた
 せっかく部活が休みだったのだがこれをきっかけにマックスも名前も落ち着いてくれれば俺としては喜ばしい
 そう思いつつ俺の隣に名前が座りマックスは向かい側に座ったのだが、悲しいかな二人の性格はあれだけど容姿はかなら良いので他の客からの視線が痛い、一緒にいるのが俺なんかですいません

「えっと、俺はココア」
「あたし紅茶」
「僕はカプチーノで」

 とりあえず各々飲み物を注文しウエイトレスが去ったことにより生まれた再びの沈黙に、二人からの視線が突き刺さる
 俺からお互いを紹介しろいうことだろう、まあ最初の注文はお互いを紹介しろってことだったのだから当たり前といえば当たり前だ
 普段は初対面の異性に対しても大胆な二人が今日は借りてきた猫のように大人しい、こんな珍しい二人を見るのは腐れ縁の特権かもしない
 そんなことを考えつつも俺は意を決して口を開いた


っていうかお前らの性格上自分から自己紹介しろよな



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