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▼書けてるところだけ5

・天使軍団・悪魔軍団編5


 勝負は私たちの勝利で終わった。
 まあ結果は見えていたようなものだったけれども私はアスタロスを失わずに済んでほっとする。リカも無事に解放された。
 緊張の糸が切れたのか早河さんが地面にへたり込んで胸を撫で下ろしている。私はふうと一息吐いてからセインの元まで歩いていく。

「約束通りグリモアも返そう」
「ありがとう。良い試合だったわ」

 清々しい顔をしたセインからベリアルのグリモアを受け取り、そのついでに握手をする。これで魔界軍団のちびっこたちと天使の使徒たちとの騒動も終わった。長いようで短かった。
 私がこれからすべきことは今回のデータをまとめて今後のマネジメントに活かすことと早河楓を更生させることだけ。

 ベリアルのグリモアが戻ってきたことに安堵した早河さんが私の手からそれを奪い取ろうとするのを華麗に避ける。

「ちょっと、返しなさいよ!」
「何を言ってるのかしら?」
「っ! 一郎太っ、竜吾! こいつからアタシのグリモア取り返して!」

 自分の思い通りにいかなければすぐストック男子に助けを求める。まだまだ改心してはいないようだからいっぱい叱る必要がありそうね。
 このチームの中での彼女の味方といえば円堂と風丸と染岡くらいだから形勢的には完璧に不利だろう。

「止めておいた方がいいわよ。悪魔を持たない貴女たちに勝ち目は無いから」
「ひっ」

 まだ自分の立場を理解していないようなのでアスタロスを使って威圧をかける。悪魔を持たない人間など恐るるに足らず。アスタロスのグリモアを構える私は悪魔たちの間で言うアクタベモードなのだろうと、ちょっと楽しんでいるの自分がいる。
 それでもなお風丸くんたちに縋る早河さんには溜め息しか出てこない。その気になればここでベリアルを召喚して風丸くんたちの洗脳を解くことだって可能なのに。

「どうやら自分の立場が理解できていないようね」

 私は別にベリアルのグリモアがどうなっても良かったのだけど、両親の形見でもあり相棒でもある大事な大事なアスタロスのグリモアを賭けたのだ。もしも円堂くんたちが負けていたら私のアスタロスが消滅していたという危険を伴っていたのだから、このグリモアの所有権は私にあると考えるのが妥当じゃないかしら。それにグリモアが戻ってきた暁には今までのことを全て謝罪して善い子になると言っていたのは誰かしら。もう嘘も吐かないとも言っていたわよね。

 ゆっくりしっかりとアホにも理解できるように言ってあげれば、またも彼女はぐうの音も出なくなりその様子が可笑しくて思わず笑ってしまった。
 まあ私も鬼じゃない。早河さんが今までの行いをきちんと猛省し、しっかりと誠意を見せてくれればちゃんと返してあげてもいい。

「その誠意が私にちゃんと届いたらグリモアは返してあげる」
「あんた悪魔や……!」
「うるさい」
「南無三ッ!」

 手に持っていたベリアルのグリモアをくっつければアザゼルの脳みそが飛び散る。早河さんは小さく悲鳴を上げ、避けるように私の背中に隠れた。
 そういえば悪魔がグリモアに触れたときのことを知らなかったっけ。悪魔やグリモアのことについてもしっかり教えていかないと。
 まあこんな光景を見せられたら私からグリモアを無理やり奪い返す気は失せるでしょう。

「とりあえず鬼道くんたちと合流してジャパンの宿舎へ戻りましょ」

 それからいっぱいいっぱい叱ってあげるから覚悟しときなさいね。そう付け足したときの早川楓の顔はいつかの木暮くんのそれに似ていた。


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