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▼書けてるところだけ3

・天使軍団・悪魔軍団編3

 ヘブンズガーデンへと到着した私と悪魔たちの目の前には異様な光景が広がっていた。

「名前ちゃん!」
「っ、ちょっとあいつにグリモア奪われちゃったんだけど! どういうことなの!?」

 捕らわれの身になったリカちゃんが妙にくつろいでいたり、今にも泣き出しそうな早河さんがいるわで。もうわけがわからないよ。
 しかもなぜか早河さんのグリモアは天空の使徒のキャプテンであるセインの手に収められていて。当の本人は私を怒鳴りつけるし。

 ワンテンポ遅れたようにヒロトが私に自体を説明してくれた。リカが魔王を封印するための花嫁になるという話らしい。
 更に早河さんがグリモアを堂々と持っていたためセインがそれを奪い取ってしまったのだと、ヒロトの話を聞いて彼からが本物の天使である確証が生まれた。
 早河さんについては、グリモアを常に持ち歩いていたところは評価してあげるけど、それ以外はアホとしか言いようが無い。
 この子は悪魔とグリモアと天使の関係を知らないのか。仕方ないので私がかいつまんで説明してあげると早河さんは大きい瞳から涙を零した。

「じゃ、あ、ベリアルは……」
「このままあいつが天界に持っていけば確実に消えていなくなるわね」
「!」

 もう二度とね、そう続ければ早河さんは膝から崩れ落ちた。今まで能力を使って男たちを侍らせてきたのだから、それが無くなるのは嫌よね。
 マネージャーの仕事もせず男を侍らせることに能力を行使していたのだから、当然の報いといえば当然かもしれない。
 私にも色々としてくれていたしこれで私も清々したわ。ただあのグリモアを私のものに出来なかったのが唯一の不満だけど。

「っ、あんたも悪魔使いなんでしょ!? だったらあいつからグリモア取り返しなさいよぉ!」
「貴女のためにそこまでする義理はないわ。今まで貴女がしてきたことを考えたら妥当でしょ」
『自業自得ということだね』
「っ!」

 私の言葉に否定する要素は一切存在しない。だからこそ早河さんは何も言えなくなってしまった。
 選手たちは早河さんが劣勢に立たされているにも関わらず彼女の擁護に回らず私たちのやり取りをただ静観していた。
 話が見えない上に早河さんが確信を突かれているという点だけはみんなにも伝わっているのだ。
 そして私が纏っている悪魔使いとしての異様な空気に、触れるのを本能が拒否しているのだろう。

 天空の使徒たちは私の腕に抱きついているアスタロスと、足に隠れているつもりのアザゼルと、睨みを利かせているベルゼブブを見て口元に笑みを浮かべる。

「ほう、その女も悪魔使いか」
「ついでもお前のグリモアもいただこう」

「はあ? 誰があんたなんかに私のアスタロスと下僕を渡すもんですか」
『名前……!』
『げげげ下僕ってなんやねん!』
『抗議します断固抗議します! ピギャース!』

 アスタロスの頭を撫でながらうるさい下僕たちを後ろへ蹴り飛ばす。ヒロトが感歎の声を上げてるけど別に見世物じゃないからね。
 悪魔を見ることが出来るのは私と早河さんと天使たちを抜かすとヒロトのみ。他の子たちは悪魔だなんだと訳の分からないことを聞かされていることになる。
 仕方ない、この場を手っ取り早く収拾させるにはデモンズゲートと同じく彼らにも見えるようにするしかない。

「アスタロス、ベルゼブブ」
『はーい』
『わかりました』
『俺の名前も呼べや』

 すう、アスタロスを含める悪魔たち三人が意図的に姿を現せばやはり、デモンズゲートと同じ状態となり再び悪魔についての説明をすることとなった。
 皆渋々ではあるが現状を各々理解納得させることに成功した。バカでも猿でも解るように説明したつもりなので付いてこられない子は捨て置く。
 何というか、フィディオは全面的に私を信頼しているせいか妙に信じ切っていて、私は彼の将来が心配で仕方ない。


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