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▼書けてるところだけ2

・天使軍団・悪魔軍団編2


 マークたち三人に鬼道くんや佐久間くんも加わっての説得に、私を悪役に仕立てようとしていた豪炎寺くんたちも結果として押し黙るしかなくなった。
 魔界軍団が悪魔の子供たちで形成されたチームということも説明し、あの子たちは私にはどうしようも出来ないとも告げる。
 どうしようも出来ないというのは真っ赤な嘘だが、下手に行動に出れば春奈ちゃんの魂を喰われてしまうのは事実。
 そして私のアスタロスたちが魔界軍団の子たちに人気なのも事実であって、取れた首をくっ付けたアザゼルもパンダのタイヤの如く転がされている。

「……人気者なのね」
「そりゃワシらはグリモアに選ばれた一族の代表やさかい、自ずとちびっ子の憧れになってまうんですわ」

 やれやれ、といった風に両手を挙げているアザゼルのしたり顔がムカついたのでもう一回思い切り蹴り飛ばしておいた。
 ぼろ雑巾のように転がっているアザゼルを放っておいて私は彼らのキャプテンであるデスタに取引を持ちかける。

「彼らとサッカーで勝負しない? そして彼らが勝ったら春奈ちゃんを返しなさい」

 デスタは少し考えた様子を見せ口角を釣り上げる。交渉成立ね。
 申し出を受ける代わりに魔界軍団が勝った場合は鬼道くんたちの魂を寄越せと言い出した。人質を捕られている立場でこれ以上の要求は好ましくない。最悪の場合最初の条件すら危うくなってしまうので私はその条件を飲んだ。

「おいっ。悪魔相手に勝算あんのかよ」
「そんなのあるわけ無いじゃない」

 不動くんの問いかけに素直に答えればみんな不満の声を漏らす。それもそうだ、サッカーで勝たなければ殺されてしまうのだから。

「……でも貴方たちなら勝てるでしょう?」

「!」
「……ああ、そうだったな。俺たちはあんたの指導を受けてるんだ。負けるわけがねぇ」
「ああ。春奈は俺たちの手で取り戻す!」
「ミーたちは強いからネ!」

 私の言葉に先ほどまで困惑していた彼らの表情が明るく、自信に満ちあふれていった。
 豪炎寺くんたちも若干不満は残っているが大切なマネージャーを取り返すという点においては鬼道くんや佐久間くんと同じ気持ちだろう。それに彼らは私に不満があってもサッカーに対してだけは真摯に向き合い本気でプレーをしてきたから大丈夫
 今の彼らに足りなかったものは勝てるという気概。それが備わった今、彼らは絶対に勝てる。

 奴らはただ単に遊んで欲しいだけなのだから、鬼道くんたちとサッカーでもすれば気が済んで帰るだろう。デスタはどうかわからないけれど。まあその時はその時で私が手を下せばいいだけの話。というわけで私は円堂くんたちを追ってヘブンズガーデンへ行こう。

「今僕たちが対処すべきは天空の使徒と名乗る奴らだね」

 アスタロスが言う通り天空の使徒と名乗る奴らの方が厄介だ。何だか嫌な予感がしてならない。

「鬼道くん、私は円堂くんたちのところへ行くから、貴方は何が何でも妹を取り戻しなさい」
「言われなくても分かっている」
「あんたたちは私がコーチングした選手なんだから自信を持ちなさい。絶対勝つわ」

 アスタロスの能力を使わずとも彼らの勝利は分かっている。私の選手たちが負けるはず無い、コーチが信じないで誰が信じるんだ。


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