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▼ハガレン→進撃11


 去年とは違い、今回の雪山訓練は地図は各班一つ、荷物も最低限、コンパスすら持つことが許されない過酷なものだ。例のごとく参加は任意。
 
 当然のごとく私は班長とされ、班員はエレン、サシャ、ベルトルト、マルコの四人。全員が前回の雪山訓練を経験しているため要領は分かっているだろう。
 前回はペアがライナーだったから多少のズルをしたが、今回は違う。班員の誰一人として私の秘密を知らない、この状態を保たねばならない。

「まず、私が班長になったからには全員を生きて目的地まで連れて行く。覚悟してくれ」

 気合いが入りすぎて軍人然とした口調になるが仕方がないだろう。彼らの命を預かる身として失態は許されないのだ。


「エレン。貴方は感情任せに行動するところがある。それが必ずしも悪いという訳ではない。しかし時として仲間を危険に晒すことになり得るのを覚えておいて。雪山訓練の時だけでもいい、いつでも正しい状況判断ができるよう冷静さを残しておくよう心掛けて」
「ああ、わかった」

 私の言葉に頷いたエレンの顔は真剣そのもので、彼ならば大丈夫だろうと確信した。


「ベルトルトは意思表示が少々弱いから、意見があるときはいつでも言ってほしい。みんなの前で言いにくいなら私にだけでもいいから、貴方の考えを教えてほしい。結果、それが間違っていようとも、貴方を責めたりはしない、だれにでも失敗や間違いはあるから」
「……あ、ああ。わかった」


「サシャは食欲任せに行動するのを控えてくれれば言うことはないんだが……無理だろうね」
「無理ですね!」
「まあ、その性格が時に正しい道に進む切っ掛けとなる場合もあるんだけど……とにかく、サシャは無駄に動かないよう、エネルギー温存を心掛けて、いつでも食事にありつける訳じゃないんだからね」
「はい! 努力します」


「マルコはちゃんと意見も言ってくれるし、一人で突っ走ったりしないからそのままで大丈夫だけど、優しくて押しに弱いからサシャに食料を取られそうになってもちゃんと断ること」
「うん」
「寒ければ寒いほどエネルギーが必要になってくるから。みんなも食事の量は厳守よ」


「去年の雪山訓練を経験しているから大丈夫だと思うけど、自分が足手まといになるだとか迷惑を掛けたくないなんて気持ちは露ほども要らない。仲間を信用して、頼りなさい」


「私も人間だ。感情的に動いたり、判断ミスをするかもしれない。私が間違ったことをしようとしたら殴ってでも止めてほしい」


「悪い、足手まといになっちまった……」
「あれは雪の下が空洞になっていたから足を踏み抜いてしまったのであって、決してエレンのせいじゃない。むしろそれに注意がいかなかった私にも落ち度があるわ」

 班長として安全確認を怠った私の責任だ。


「それに言ったでしょう? 全員を生きて目的地まで連れて行くって」
「ああ、そうだったな。ありがとう」


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