余命10年。
2018/01/29 23:35

ふらっと立ち寄った本屋で偶然出会った小説のレビューです。『余命10年』と何とも衝撃的なタイトルと優しいタッチの表紙イラストに惹かれてその本を手に取りました。私、本を買う時は必ず著者を見る癖があるんですけど、著者紹介を見て体が痺れるような衝撃を受けました。講談社ティーンズハート大賞で期待賞を受賞した著者は、この本の刊行を待たずして逝去してしまったそうです。ティーンズってことは相当若くして亡くなられたのではないかと思われます。偶然手に取った1冊は彼女の唯一の遺作なんだと思うと、手放すのが惜しくて、使命感のような感情を抱いて即買い。私結構涙脆いんですけど、この本、ページを捲れば捲るほど涙が止まらなくなる。タイトルからお察しの通り、主人公は余命10年を宣告された女性です。彼女の葛藤や喜び、苦しみが本書のいたるところに滲み出ていて、読めば読むほど彼女に惹き込まれていきます。10年という短く濃い時間がぎゅっと詰まっています。短いようで長い、長いようで短いその時間が、文字を通して走馬灯のように駆け抜けていく感覚は恐怖なのか爽快感なのかよく分かりませんが、こんなにぞわぞわとする感覚は久しぶりでした。前半は共感する部分もあったのですが、終盤にかけてはもう感情移入の度が過ぎたのか、ページを捲るのさえ怖くなりました。ページ数が減るたびに彼女の時間も減っていくようで、まだ終わらないで、最後の最後で読者を裏切るハッピーエンドにしてよ、と何度思ったことか。あんまり詳しく言うとネタバレになりますけど…幸せを知ってしまったからこそ、より寂しさが増すんですよね。これはぜひ読んでいただきたい1冊です。彼女の最後の10年を感じてみてください。



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