※『ヤンデレな彼女ができました』番外編


いつも通りにバトルを終えて、ノボリに睨まれながら書類も片づけて、今日の業務もひと段落と思ったのに、何だかすごく物足りない感じがした。

「知りませんよそんなこと」
「えー、ノボリも一緒に考えてよ。ぼくこのままじゃ気になって帰れない」

可愛い弟のお願いだっていうのに、ノボリってば一刀両断してくれちゃって。
もう少し悩む素振りぐらい見せてくれたっていいのに。
なまえなら絶対一緒になって考えてくれる。

「………あ!わかった、今日なまえからの連絡が1回少ない!」

いつも1時間おきにかかってくるライブキャスターへの連絡が1時間分ぽっかりと抜けている。
いつもならバトルが終わってすぐかかってくるはずなのに、今日はその1回が鳴らなかった。

すっきりした、と手を叩いた所で、ノボリがすっごい目をしてこっちを見ているのに気づく。

「なぁにノボリ、何か言いたそうだけど」
「……………いえ、貴方も随分毒されたものだと」

毒されたなんて随分な言い方だけど、否定はできないから大人しく笑っておく。
少し前までノイローゼになりそうだったのに、今じゃ1回鳴らなかっただけでこんなに気になるなんて。

「だってこれもなまえの愛だから、ぼくも受け止めたい。ノボリだってぼくが泣き言言ってたら責めてきたくせに」
「それは殊勝な心がけですが………、ところで、心配はしないのですか」
「心配って、何のこと?」
「あれだけ深い愛情をお持ちのなまえ様から連絡がなかったということは、何かしらあったのでは」

何かって、空いた1時間の間に?
でもその前後の連絡はちゃんとあったし、おかしな様子もなかった。
いつも通りぼくの大好きな笑顔で、元気にしてますかって聞いてくれたし。

「忘れちゃってた、ってことはないんだろうけど…。でも、きっと大丈夫じゃないかな」

だってなまえだし。
リアルファイトも得意って言ってたし、もし何かあってもなまえならきっとぼくに教えてくれるもん。

そう言ったら、あからさまに馬鹿にするような視線を向けられた。

「ご存知ないようなので教えてあげますが、その間になまえ様はギアステーションにいらしていたのですよ」
「え、何それぼく見てない聞いてない!」
「ええまあなまえ様の目的はクダリではないようでしたからね。丁度貴方がバトルトレインに乗っている間に、なまえ様はどこの馬の骨とも知れぬ男から告白を受けていらっしゃいました」
「こ……っ!?」

ちょっと待って急展開すぎてぼくついていけない。
何で、なまえが、告白された!?

「なまえ様がヤンデレだからと浮気の心配を怠るからそのようなことになるのですこのお馬鹿」

ざまぁないですねって無表情に笑ってるノボリの顔がムカついたから一発殴ってやろうとしたけど、あっさりかわされた。
腹立つ!





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