ものわかりのいいお人形
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『…ん?』

トーマ「…あ、マイ。
おはよ、ぐっすり眠れた?」


俺は檻の中にいる
目覚めたマイに向かって言った。


『…おはよ…。』

トーマ「やっぱり布団買ってよかったな。
昨日までは、ほぼ床だったから
痛かっただろうし。」


そう、俺は昨日
マイ用の布団を買いに行った。

わざわざ買いに行ったのは
檻の中は結構小さくて
普通の布団じゃ入らなかったからだ。


『ねぇ、トーマ…。
お願い、ここから出して?』

トーマ「だから、それは無理。
外は危険だろ?
ここにいればマイは安全だから。」

『…。』


ほら、何にも言い返せない。

それはきっと、外が危険なのは
マイも身をもって知ってるからだ。


トーマ「だからここにいな。
ちゃんとマイの事は俺が世話してやるから。
わかった?」

『…。』


うつむいて俺から目をそらすマイ。


トーマ「はぁ…やっぱりだめかー…。
でも、ここから出すって選択肢は無いんだ。
ごめんな…。」

『トーマ…。』


不安そうな顔をするマイを見て
俺は胸が苦しくなった。


トーマ「ただ俺はマイに危険は与えない。
俺はマイの兄代わりだからさ。
だから大人しく檻にいてくれ、な?」

『…うん…。』


檻の中で心なしか
小さくなりながら返事をするマイ。


トーマ「はい、いい子いい子。」


そう言って俺はマイにほほ笑んだ。


ものわかりのいいお人形


トーマ「今、朝飯持ってくる。
寒いだろうから
もう少し布団にくるまって待ってな。」

『うん…。』





(お題提供元「Overture」)


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