体温はさらに上がる
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ケント「大丈夫か?」

『はい…ありがとうございます。』


私は馬鹿かもしれない。


三日前、私は家でクッキーを作った。

その次の日、作ったクッキーを
一人で食べるには多かったので
バイトが同じだったサワとミネにあげた。


サワ「すごいおいしい!
これ、ケントさんにあげたら?
絶対喜ぶよ!」

ミネ「それ、いいと思います!
あ、渡したらどういう反応したのか
教えてくださいね。」

サワ「あんた、店長にも
応用しよう、とか考えてるでしょ?」

ミネ「気のせいですー。
でも、このクッキーすごくおいしいし
喜ぶのは確実ですよ!」


と、そんな感じでうまく乗せられた私は
次の日…つまり昨日、ケントさんのためにと
いつもの倍くらい頑張って、クッキーを焼いた。


その結果が…これ。


ケント「マイが風邪と聞いて
薬と飲み物を買ってきた。
飲むと少しはましになるだろう。」

『ありがとうございます…。』


私は張り切りすぎて風邪をひいた。


『(はぁ…ケントさんにも迷惑かけちゃったし
ほんと最悪…私の馬鹿…。)』


心の中でそう呟いた。


ケント「元気がないな?
そんなにつらいか?」

『え、あ、いやそんなことはないです。』

ケント「しかし私から見る限りマイは
今日、ずっと下の方を見つめているのだが。」

『え…。』

ケント「つらいなら無理をするな。」

『その…違うんです。
私は馬鹿だな、って思っていたんです。』

ケント「馬鹿だと?なぜだ?」

『ケントさんへ渡すクッキーを作るのに
必死になって、風邪をひいて…。
結局ケントさんに迷惑をかけてしまったので…。』

ケント「なるほど。
マイは勘違いをしているようだな。」

『勘違い…?』


ケントさんの言葉の意味が
私にはわからなかった。


ケント「私は迷惑だなどとは思っていない。」

『…本当ですか…?』

ケント「ああ。
それに、今、マイが私のために
クッキーを作ってくれていたと知って
余計に嬉しいと思った。」

『ケントさん…。』

ケント「だから、マイは
気にすることはない。
さらに言うと…
いや、やっぱりやめておこう。」

『なんですか?聞きたいです。』


私がそう言うと
ケントさんは顔を赤くして言った。


ケント「…マイに頼られるのは
大歓迎だ…。」


体温はさらに上がる


『…あ!昨日作ったクッキー
台所にラッピングして置いています。
よかったら食べてください。』

ケント「本当か、ありがとう。」


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