お互い様
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12月になり、かなり寒くなってきた。

俺は受験勉強の息抜きだと言って
朝からマイの家に行って、デートに誘った。

マイは最近会ってないという事で
俺と一緒に遊びたかった、という気持ちと
息抜きといえどもこのデートが
勉強の邪魔にならないか、という気持ちで
すぐに返事をしなかった。

もちろんマイが自分の気持ちを
口に出したわけじゃない。

でもマイの考えてる事は
顔を見ていたらわかるし
俺は「一日くらい息抜きしたいから付き合え」と
半強制的に『行く』と言わせた。


『今日はどこに行くの?』


出かける用意をしたマイは俺に訪ねた。


シン「特に決めてないけど
マイは行きたいとこあんの?」


そう言いながら外に出て
とりあえず駅方面に、と歩く俺のあとを
ついてくるマイ。


『買い物…とか。』

シン「なんか買いたい物あるわけ?」

『えっと…。』


マイは口ごもった。


シン「何?」


俺は問い詰めてみる。

なんだ?
言えないような物買うつもりなのか?


『…シンと手つなぎながら
歩きたいな…って…。』

シン「…そんなことか、…ほら。」


そう言って俺はマイに手を差し出した。


『え、いいの?』

シン「付き合ってるんだから。」


マイは俺の言葉を聞くと
俺の手を嬉しそうに握ってきた。


シン「そのかわり…。」


俺はマイに軽くキスをした。


『?!』

シン「付き合ってるんだから。」

『で、でも、こんな、そ、外で…!』

シン「早く行くぞ。」


マイの手を強めに引いて歩く。


『シン…顔真っ赤。』


そう言ってふふっと笑うマイ。


シン「うるさい、もう一回するぞ。」

『えっ!』

シン「冗談だって。」

『シンはずるい。』

シン「は?」

『いっつも余裕な顔して。』


そう言ってマイは拗ねたような顔をする。


シン「はいはい。」


そっけなく答える。

そうするとマイは余計に拗ねる。


…俺も余裕なんてねぇよ。

お前相手に余裕なわけねぇじゃん。


お互い様


シン「のろのろしてるとおいてくぞ。」

『え、ちょっと!』


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