私が忍術学園を訪れてから早いことに3日が経過した。
何故この時代に来てしまったのかわからなければ、帰る方法もわからない。もちろん行くところだってない私を学園長先生は受け入れてくれた。どうして私の存在にいち早く気がつきタイムスリップのことも知っていたのかは、いくら問いただしてみても笑うばかりで教えてはもらえなかったのだけど。
謎は沢山あるけれど、事情を知って住まわせてもらえる環境があることは非常にありがたかった。私は忍術学園全体のお手伝いをして過ごすことになったのだ。
「しまったな……」
「どうしたんですか?」
ふと土井先生の小さなぼやきが耳に入り、ヒョコとその俯いた顔色を伺った。心なしか胃がキリキリと痛む音が聞こえる。
「苗字か……。いや、大したことはないんだが、金吾に言伝があったのを忘れていてな」
「言伝ですか。でも金吾くん今学園内にいますよね?今からじゃだめなんですか?」
「そうしたいのは山々だが……私はこれから急ぎで出張に出かけなければいけないんだよ。金吾は今日は委員会があると聞いているし、学園中を走り回る体育委員会を今から探すのでは時間が……」
「あっじゃあ私に任せてください!こういうときの名前ちゃんです」
そう言って私は自身のほどを見せようと仰け反った胸元をドンと拳で小突いてみせた。
体育委員会がどこで何をしているのかは全く見当がつかないけれど、私はこれから用事があるわけでもない。まさに適任だと考えたのだ。
「そうか……それじゃあお願いしてもいいか?」
「どうぞ!!なんなりと!」
私の申し出に土井先生は柔和に微笑んだ。