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 銃で脚を撃たれた事件から月日が経ち、私の脚は軽く走れるくらい良くなっていた。阿笠博士の家の前を通りかかったときに偶然コナン君が前から歩いてきて、一緒に博士の家にお邪魔することになった。

「脚は大丈夫か?」
「うん。たまに痛むけどもう治ったと言っても過言ではないよ!」
「巻き込んでわりぃ」
「それは何回も聞いたよ。コナン君のせいじゃないから気にしないで」

 あの日から彼は私の体調を心配して何度も家に様子を見に来てくれた。それに何度も謝罪された。早く完治して何ともないことを伝えたい。

 博士の家のドアを開けると阿笠博士と哀ちゃんの姿が見えて挨拶する。以前病院からもらった薬が効かずに哀ちゃんに相談したところ、彼女から渡された鎮痛薬がめちゃくちゃ効果があった。それから哀ちゃんに薬をもらっている。

「哀ちゃん、いつもの薬貰ってもいい?」
「えぇ」
「おーい哀くん! ちょっと手を貸してくれんかー?」

 博士の声が聞こえて哀ちゃんは溜息を吐いた。

「あっちの引き出しの一番上に入れてあるわ。取ってて良いわよ」
「ありがとう」

 哀ちゃんは博士に呼ばれて玄関の方へ行ってしまった。残されたのは私とコナン君。上の引き出しって右かな左かな。とりあえず右の引き出しを開け、薬箱から薬を出す。

「箱に妙なマークが貼ってっけど……」
「ドクロマークだねこれ」
「いつも飲んでる薬か?」
「うん、こんな感じだった気がする」

 水を用意し薬を飲むと、突然身体が熱くなった。 この感覚、覚えがあるぞ……もしかしてまた男に……。

「永愛?」
「あ、あつい……」
「おい! 大丈夫か!?」

 体に力が入らなくなって立っていられず床に倒れる。コナン君は私のおでこに手を当てて驚いた顔をしていた。哀ちゃんと博士も心配した様子で駆け寄ってきた。

 そこから私は意識を手放した。


********************


 言い合ってる声が聞こえる。目を開けて周りを見ると少し離れた所でコナン君と哀ちゃんが言い合っていて、博士が二人をなだめていた。

「左の引き出しよ。ちゃんと説明しなかった私も悪いけど」
「じゃあ永愛も俺達のようにこのままなのか!?」
「いいえ、あの薬は一時的なものよ」

 何のことだろう。もう身体は熱くないし薬の副作用だったのかな。上体を起こし、寝かされていたソファから足を下ろす。

「あれ? 私こんなに足……ってああああぁ!? 私の足ぃぃぃ! って手も小さいぃぃぃ!?」
「なっ、なんじゃ!?」
「まずは説明してやらねーとな」

 哀ちゃんが私の前へやってきて鏡を渡される。おかしいな、哀ちゃんと目線が同じ。不思議に思い鏡で自分の姿を確認すると、幼い頃の私の顔が映っていた。というか、手も足も体も小さいしもしかして、もしかしなくても……。

「小さくなっちゃった!?」
「えぇ。私の薬を誤って飲んでしまってね」
「えぇぇぇぇぇ!? どっどどどうしよう! 哀ちゃん!?」
「落ち着いて。すぐに戻ると思うからそれまで我慢してくれるかしら」
「う、うん」

 すぐ戻るんだ。良かった。

 ……それならこの姿で楽しんだ方が良いよね!

「よし! 子供達呼んで皆で遊ぼう!」
「ポジティブすぎねーか?」

 ソファの上に立ち上を指差すと、コナン君と哀ちゃんはやれやれと溜息を吐いた。


********************

 公園に子供達を呼んで一緒に遊ぼうと伝えたら快く了承してくれた。なんて優しい子達。

「こんにちは! わたし歩美!」
「僕は光彦です!」
「俺、元太。よろしくな!」
「よろしく! 私はえーっと……ルイド!」
「ルイド? 変な名前だなー」
「元太君、失礼ですよ。僕は素敵な名前だと思います!」
「コナン君みたいな名前だねー」
「あはは」

 無理かと思ったけど何とか信じてもらえたみたいだ。コナン君が近くに来てぼそりと呟いた。

「コナン・ドイルから取ったろ」
「よくわかったね、流石名探偵」

 皆と目線が一緒だー! 私本当に小さくなったんだなぁ。なんだか嬉しくてにやけてしまう。

「ルイドちゃんって永愛お姉さんに似てるね」
「そういえばお顔がそっくりです」
「髪の色も一緒だぞ」
「うぐっ」

 流石少年探偵団。鋭いぞ。

「コイツは永愛姉ちゃんの親戚なんだ」

 フォローありがとうコナン君! 三人はへぇーと納得していた。

「おや?」
「わー、安室さんだー!」

 聞き覚えのある声と歩美ちゃんの発言に肩が跳ねる。あ、安室さんだと……。恐る恐る振り向けば、子供達と話す安室さんがいた。そして私の視線に気づいた彼は微笑みながら近づいてくる。

「初めましてだね。皆と同じ学校のお友達かな?」
「えぇっと……」
「この子はルイドちゃん! コナン君のお友達でわたし達とも今日お友達になったの」
「そうなんだ。僕は安室透。よろしく、ルイドちゃん」
「よ、よろしくおねがいしゃす……」

 緊張して舌を噛んだ。早くどこかに行ってくれないかな。この人鋭いからできれば関わりたくない。
 しかしそう思った通りにいかないもので、私達は事件に巻き込まれた。

 近くで爆発音がしてコナン君を先頭に事件だと爆発音のした方へ皆が走る。後を追おうとしたら足が少し痛んだ。……そうだ、間違えて薬を飲んでしまったから鎮痛剤を飲むのを忘れてたんだった。
 立ち止まっていた私に気づき、安室さんは私に声を掛けた。

「ルイドちゃん、足を怪我しているのかい?」
「あ、はい。先に行っててもらって大丈夫です。ゆっくり行くので」
「嫌だったらごめんね」
「へっ、ヒエッ!」

 ひょいと持ち上げられた。突然のことに驚きながらも、髪が顔に触れるほど近くて思わず凝視してしまう。ぐぅ、顔が良い。
 私が悶えていることを知らず、彼は私を抱えてコナン君達の後を追った。

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