ニコチアナ | ナノ
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  prolog


手を伸ばす

手を伸ばす

握り締めた掌の中はからっぽで。

“なんで、” “俺が、”

何をしても、何をやっても、どうあがいても、

“いま”は変わらなくて。

泣いても喚いても変わらないそれに気付いたときには俺はこころをなくしていた。

ただ全てを在るがままに受け入れて受け流して、


“たすけて”

“だれか”

“この手をとって”

“俺を引き上げて”


ずっと遠くに置いてきてしまった俺のこころを引き上げてくれる、そんな人に逢いたかっただけなんだよ。


何もかも無くした俺が想い描いたような、

どこまでも真っ直ぐな貴方と出逢ったのは、

きっといるはずのないカミサマからの贈り物なのだろう。

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