▽ はじまりのはじまり
正義の為に不良に絡まれている人を助けた。
何時もと少し違ったのは、助けた人が同じ学校の先輩だったということだった。
何度か見かけたことのあった人だったが、全く関係は持っていなかった。
助けて、助けられて、それで終わるものだと思っていた。
「ありがとう」
そう、安心した様に笑う貴方の顔を見るまでは。
×××
生まれ持ったこの身体のせいで困ったことに巻き込まれるのは何度目か分からない。数えることもやめてしまった。
何時もの通り、ただじっと終わるのを耐えていた。
そんな時、突然現れた金髪の男の子。
僕と同じ制服を身に纏ったその子は、常に怪我をしていて喧嘩をしている“危ない子”だと専らの噂のその人だった。
気が付くと柄の悪い人達は皆地面に伏していて、その場に立っていたのはその子だけだった。
「大丈夫か?」
倒れていた僕に手を伸ばしてくれた時、長い前髪の間から覗く力強い光を持った瞳に引き込まれた。
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