-輝く女神-01 ※ここから神話時代 正直、この子は愛せないであろうと思っていた。 オリンポス、十二神の一角を担い豊穣を司るデメテルは、赤子を抱きながら笑みを浮かべた。 その容姿は清らかで美しく、輝いている金の髪はガラスのように綺麗だ。 穏やかに細められている青い瞳は透き通っており、常に赤子へと注がれている。 一生結婚はしない、男と交わることもしない。と純潔の誓いを立てようとしていたデメテルだったがある日人間の男に淡い恋を抱き、交わってしまった。 だが、そんな小さな幸せはあの男に壊された。 ゼウス、デメテルの数少ない姉弟。 既に彼は同じ姉弟のヘラと結婚していたが、それはしつこくデメテルに付き纏い関係を迫ってきていた。 ヘラの確執を恐れたのもあるが、あんな男となんて御免だと思ってずっと袖にしてきたのに、デメテルがそこら辺にいる人間と交わったと知るや否や、激しい嫉妬を持って目の前でその人間を殺害したのだ。 そして泣き叫ぶ間も与えずに無理矢理迫り、子供を孕まされた。 もし子供があの憎い男に一片でも似ていれば、きっとデメテルはその泣きながら赤子を消し去ったであろう。しかし、生まれでた赤子の髪や瞳は自分と瓜二つである上にとても愛らしい女児だった。 無意識に母を求めて泣きながら伸ばしてきた小さな手をみた瞬間、庇護欲に駆られた。 この子供なら、愛せる。 そう確信を持って子供へ無限の愛情を注いだ。 日に日に愛らしくなる娘を抱きながら、デメテルは処女を貫けなかった己の祈りや娘の安寧を願ってコレー(乙女)と名付けた。 [*前] | [次#] 戻る |