「お誕生日おめでとうございました、委員長」
机で書類を片付けていた風紀委員長・雲雀恭弥に、彼になついている黄色い鳥にそっくりな鳥がプリントされたマグカップを差し出すとそれを手に取った委員長はそっとそのマグカップを下に置いた。
今日は母の日なのでデパートで母の為にプレゼントを買ったついでに委員長の誕生日を思い出したので買ったのだが、お気に召さなかったのかもしれない。 ちなみに、プレゼントは明日渡そうと思っていたのだが学校の校門が開いていた為きっと居る筈だと思って渡しに来たのだ。
「………………今日、何日か知ってる?」 「母の日で、日曜日です」 「僕の誕生日は?」 「端午の節句の5月5日です」
答えた瞬間バキッ!と音を立てて委員長机が真っ二つになり、書類が宙を舞う。 今すぐ射殺されそうなほどに鋭い目で睨まれ、ひぃっ!と息を飲む。
「い、委員長!睨みすぎて白目むいてます!!」 「……君、その日何してたの」 「5日ですか……?えっと、ゴールデンウィークなので母の実家に泊まりに行……っ、て!待ってください、殴るのはやめてください 」
トンファーを構えたまま、じりじりと迫ってくる鬼から逃げる。
「何?殴られる心当たりでもあるの?」 「いえ、ありません」 「じゃあ殴らせて」 「意味が分かりません!!」
ぎゃあああ!と叫びながら部屋から出ようとすると扉のすぐ傍にトンファーが突き刺さり、綺麗に硬い壁へめり込んだ。
「ずっと学校で待ってたのに君は来なかった」 「そりゃあ、祝日ですから」 「僕がいえばいつでも平日だ」 「なんですかその権力!本当何者なんですか委員長!」
ガタガタガタッと扉を動かすも、向こう側から押さえられているようで開かず、絶体絶命。
振り返ればそこには悪魔が立ってた。
「言いたいことはあるかい?」 「……すみません。まだ死にたくないです」 「なら、今日から僕の下僕ね」 「あの、それも嫌なんですけど…………っ!嘘です嘘です!喜んで下僕にならせて頂きます!!」
血走りかけている目でじっと睨まれ、必死になって媚びると「つまり、君は僕のものね」と満足そうに笑っていた。
「君は僕のもの。つまり、君のものは僕のもの。でも僕のものは僕のものだからね」 「ジャイアン!!」
2013.05.12 執筆
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