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鎮魂歌代わりの復讐を


二件隣に住んでいたエーヴァ
オレより二つ年下で気弱だけど誰よりも素直で、オレのことを兄のように慕ってくれた

弟のようなエーヴァはもういない


向かいに住んでいたリシャとその母親のロキナおばさんは揃って可愛いものが好きだった

そんな明るいリシャとロキナおばさんももういない


村の外れの一軒家、数年前に移住してきたアノ人
物腰柔らかなのに誰よりも力強くて憧れだった


アノ人は誰かの恐剣に斬られ倒れた


小さくも優しさに溢れたオレの故郷(世界)の中で、何よりも大切だったのは・・・たった一人のオレの親
女手一つで厳しくも優しく育ててくれた母さん

土にまみれた服、腹部から流れ出る赤は熱くて、握り締めた母の手は逆に冷たくて

母はオレを隠し庇い、誰とも知れない奴の手にかかって殺された



村(世界)に残されたのはオレ独り
全員の墓を作った

知人も、友人も、お隣のシャニゲさんも、長老のノギ様も
アノ人も、大好きな母さんもみんなみんな土の下に埋めた



母さん
心優しい母さん
今のオレを見て貴女は息子にどんな言葉をかけるでしょうか?

知ってるよ

逃げてるだけだと
現実を認めたくないだけだと
情けのない言い訳だと

だけど母さん
出来ないんだ

オレには新しい絆を結ぶことなど出来なかった

誰かと話すと他愛のない話をいつも聞いてくれたハブナさんが
誰かと遊ぶと面倒を見てくれたヤッカ兄さんやフィスニア姉さんが
そして誰かに優しくされりと母さんが
心に浮かぶ、無意識に重ねてしまう

嗚呼、そんなオレが他人と友達になれるはずがないね

だって思い出してしまうんだ
皆が心に浮かぶと一緒に憎しみが胸で荒れ狂うんだ


だからオレには復讐しかなかった
復讐にしか生きる意味を見つけられなかった


ごめんね母さん

オレ、人ではなくなってしまったんだ


オレは、人を殺した

あの日村を滅ぼす一端を担った兵士を
指揮をしていた将軍を
命令を下した上官を

何人も殺した
でもまだ何人も残ってる


母さん、わかっています

オレがやっていることはオレと同じ境遇の人間を増やしてるだけだと
憎しみを無意味に連鎖させているだけだと

だけどもう戻れないのも知っている


ごめんね

もう皆はオレの中にしかいないのにオレが皆を殺すような真似をして

だからオレを赦さないで

オレはもう二度と皆には会えないから
オレにはもう人を殺して、冥界で罰を受ける未来しか残されていないから

まだ地上に生きてる内ならきっと皆に声が届くと信じて
オレは許しのない謝罪の言葉を呟き続ける


ごめん
ごめんね

ごめんなさい




「次は・・・お前の番だ・・・
苦しみぬいてから血反吐を吐いて死ね・・・!」



ごめんなさい
さようなら、母さん







++++++
色々思いつくままに書いたからまとまりがないです
別にクイエはマザコンじゃないよ、母子家庭だから自然と母親を気遣う子になったんだよ


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