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おかしな二人19
「今日のヒカルちゃんの服も可愛い」
するりと這うように腰に回された指に思わず声を上げかけた。驚きをぐっと飲み込み、背後の少女をじとっと睨む。
「毎回変なとこ触るのやめろ」
「別に減るものじゃないでしょ?それに・・・」
つぃと腹を撫でられて体が跳ねてしまう。くすくすと比奈が笑ったのがわかった。
「ヒカルちゃんがこうやって反応するのすごく可愛い・・・」
「あの・・・な・・・」
トンと比奈の顎が肩に乗る。飽きずに腹を触ってくる度にオレの体は反応してしまって、その都度はぁ・・・という湿った吐息が耳をくすぐる。
「・・・食べちゃいたい」
「冗談でも勘弁して」
するりと拘束から抜け出し比奈を睨めば、不機嫌な顔が同じように睨み返してきた。
「ケチ」
「ケチじゃない」
ぷぅと拗ねたように頬を膨らませる比奈。それを可愛いと思う辺りオレ相当比奈に甘い。
「それにしても、その服いつ買ったの?レース可愛い・・・」
「ん?ああ、先週に。このレースと模様が可愛くてさ」
くると回って模様を見せれば「本当だ」といって模様を撫でる。
それがすごく嬉しい。
姉以外の、二人目の理解者。
「・・・そういう比奈は、いつもどこで買うんだ?」
今日の比奈の服はパステルカラーでボーダー模様が入ったもの。見た目が明るくてすごく似合っている。
「家の近所にあるとこ。なかなか可愛いでしょ?」
「うん。すごく似合ってて可愛い」
「ウソつき」
「嘘じゃないって」
ムッと言い返せばヒラリと視線をかわされ、まるで何事もないように隣から顔を覗き込んでくる。もう決まったパターン。この後くる言葉も、決まってる。
「ヒカルちゃんキスしよ」
蕩けるような微笑みでそんなことを言われれば頭がくらくらしてしょうがない。
顔が赤いのだってきっとバレバレなんだ。
「ん・・・・・・」
優しく触れ合うようなキスをする。
しかし、このまま流されれば比奈ペースに持ってかれるため、光太は重なった唇をわざとぐいと押した。
「バカ。ムード台無し」
「ムードなんてなくていい」
負けじと言い返し、比奈の体を腕の中に閉じ込める。
これが未だ慣れなくて、実行する度に体が発火してしまうじゃないかってぐらい全身が熱くなる。
でも負けられないから、それを隠して強く比奈の体を抱き締めた。
おずおずと比奈の腕が背中に回る。どことなく甘い空気に酔ってしまいそうだ。
比奈の温もりが伝わってくる。心臓がドキドキと忙しない。小さな吐息が耳から脳を刺激してくる。
「比奈、好きだ」
なんとなく言ってみた。
「私もヒカルちゃんが好き」
笑って返された。未だ彼女の想いは光太に落ちてくれない。
けれど最近はそれすらも心地好い。
こんなちょっと生意気なところもひっくるめて、光太は比奈が好きだった。というか余計好きになっていた。
一緒にいて、下らないやり取りをするだけで安心する。
ちゅ、と頬に軽く触れるようなキスをしてみた。いつもと違う行動に驚いたらしい。比奈の体がピクリと跳ねる。
「好きだ」
すかさず耳元で言ってみた。
うわー、何やってんのオレ。めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど、いつこんなキャラになったっけ?
恥ずかしすぎて頭が逃避に走るが、比奈には少なからず効果があったらしい。
いつもの言い返しもなく、ただ腕の中でもぞりと身動ぎをした。
どうしようもなく可愛いと思うオレは紛れもないバカだった。
女装男子と百合娘
おかしな二人。
おかしな恋愛。
今日も互いを甘やかしながら戦ってます。
++++++
精一杯甘いのを目指した、つもり!←
女装男子×百合娘という新境地を開拓したオマケに今までの学園一発ネタが混ざり合いました。
何か浮かんだらまた光太と比奈を書きたいです。
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