天仔ネタ5
「ゆーゆー!一緒にお風呂入りましょう!」
「イ・ヤ・ダ」
「え〜え〜!何でよぅ!」
「何でもだっても、ヒナさぁ・・・オレもうガキじゃねぇの」
「うん」
「・・・だからオレも“男の子”じゃなくて“男”なの」
「うん」
「・・・だ、から・・・もうオレもヒナと一緒に入る歳じゃないわけ」
「うん」
「・・・だから、入らないわけ、分かった?」
「うん、全部ゆーゆーの個人的な理由で私とゆーゆーが一緒に入ってはいけない理由にはならないことは十二分に分かった、から入ろう」
「分かってない!!」
「何よゆーゆー。どうしてそんなに私と入りたくないの?今のあんたの年齢なら、このピッチピチの玉の肌を持ったおねーさんに『入りましょう?』って誘われたら即答で『是非!』って言っちゃうお年頃なんじゃないの?」
「あー!そーかもな!世間一般はそーなんだろうな!
だけどオレは絶対『是非!』何て言わねぇし、ヒナと風呂にも入らねぇ!」
「なーんーでー??」
「・・・理由を言えと?」
「モツ。何でそんなに嫌がるのゆーゆー?」
「それはな・・・。
それは、ヒナが一緒に入る度にオレの腰やらケツやらに気持ち悪く手を這わせてくるのが心底嫌だからだよバカ野郎」
「何だ、そんなのただのスキンシップじゃない」
「ど・こ・が・だ・よ!!
世間の何処に息子の体を撫で回す行為を『スキンシップ』と言い張る母親がいるんだよ!!!」
「何処にも何も、ここにいるわ」
「頭から滝にダイビングすればいいのに、今すぐ」
「今すぐ何て言っても滝が近くにないから無理」
「真面目に答えるなよ・・・。
と、とりあえず理由は分かっただろ!いいから一人で風呂行ってこい!」
「は〜い・・・まったく、寂しい子ねぇ」
「体を撫で回されるよりマシだし」
「だってゆーゆーのお肌すべすべで腰は細いし、お尻は良い形してるし、腕とか足の筋肉の付き方も程よくて触り心地抜群なんだもの。癖になるの、触りたくもなるわよ」
「・・・・・・セクハラだっ!!」
++++++
深夜。
「ゔ〜〜・・・ゔ〜・・・」
「・・・?」
苦し気な呻き声にルーフィドは目を覚ます。
今夜は緋雅哭が一人部屋で、男性集は二人部屋に無理矢理押し込まされた。
なので話し合いの結果、唯とルーフィドは一つのベッドで共に寝ている。
呻き声はすぐ隣から、つまり唯が発しているようだ。
だが(唯の体が小さいお陰様で)ベッドが狭いわけではない。何か嫌な夢でも見ているのだろうか?
体をよいしょと動かし唯の様子を見ると、
「・・・・・・は!」
「・・・・・・・・・」
寝る前には影も形もなかった筈の四人目が、唯の体に乗っかっていた。
黒髪のその四人目に、ルーフィドは驚きつつも顔には出さず、ゆっくりと微笑を浮かべる。
「今晩は、狗縲さん」
「・・・こんばんは・・・ルーフィドさん」
ペコリと律儀にお辞儀もしてくる少女―狗縲の姿をとらえつつ、体を起こす。
そうすれば、眠りながら唸っている唯の顔がよく見えた。いかにも苦しそうである。
「ところで狗縲さん、今夜はいかなご用事で?」
「・・・見てわからないかな?獣場に夜這いをかけに」
「あまり感心できる用事ではありませんねぇ」
「感心されようがされまいが・・・ボクはボクのやりたいようにするだけだよ」
「はぁ・・・ですがいくらなんでも、隣に関係のない私が居る時にそれはどうかと・・・」
「・・・そうだとしてもこの溢れる気持ちは抑制が効かない」
「それは困りましたねぇ」
ごく普通に会話を進める二人。
しかし、そんなのんびりと話をしていて被害者が何時までも気付かないわけがなく、ルーフィドは呻く唯が静かに目を開くのを視界の端にとらえた。
「と、いう訳で邪魔をしないで欲しい」
「私に言われましてもね・・・本人が」
「え?」
「・・・おい、何だコレは」
低い声を出す唯に、やっと目覚めたことに気づいた狗縲が向き直る。
そしてジッと彼の顔を見つめたまま「おはよう」と声をかけた。
「何が『おはよう』だよ。今何時だ」
「・・・多分午後12時位」
「・・・そんな時間に狗縲さん?お前は何を・・・」
「獣場に夜這い」
ハッキリと目的を伝える狗縲に、唯は先ず目を見開いて顔を赤くし、そして赤い顔をさぁと青ざめさせていく。
そして、
「うわあ゙あぁぁぁ゙ぁぁぁ゙っっ!!!!!」
大声で叫びルーフィドの背中に隠れた。
その後小一時間。
狗縲を説得し彼女が帰るまで唯はルーフィドの背中でガタガタ震えていた。
++++++
30の世界の女性陣は性格に難有りのようです。
ゆーゆーが愛されてる。
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