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初めて・おまけ




けおま


「ちょっとお兄ちゃん何してたの!」


ぷんぷんと腰に手を当て仁王立ち、あからさまにご立腹な少女の視線を受け止めトウヤはふぅと溜め息を吐いた。


「あのさぁ・・・メイ。オレちゃんとお前に「先約があるから少し遅れる」って前日には説明したよな?」
「だからって十分遅刻!ちーこーく!遅刻なんだよ!レディを待たせるなんて!」
「・・・ごめん、そういうのを肉親の兄に求めてくれるな・・・」

勘弁してくれとげんなりするトウヤに、メイはむぅと膨れっ面で拗ねをアピール。


「あのねぇお兄ちゃん?私はお兄ちゃんを鍛えてあげてるんだよ?」
「ほぅ?」
「お兄ちゃんがどんな人の前でも紳士的な態度をとれるよう特訓させてあげてるんだよ」
「心配するな。お前とアキラ以外にはちゃんと丁寧な対応をしてるから」
「だ・れ・の・ま・え・で・も!」
「・・・妹や幼馴染みの前でも気を緩ませさせてはくれないと?」
「もち!」


もう一度ふぅと溜め息を吐くトウヤ。
嗚呼どうして我が妹はこんな風に育ったんだろうと頭を抱えたくなる。


「というわけで!遅刻の理由をちゃんと話なさいお兄ちゃん!わたしに分かるよう・・・十文字以内で!」
「みじかっ!お前無理難題が好きだな本当!」


そしてそれを実行しない限り解放してくれないのも我が妹である。
仕方なく十文字以内で説明しようと頭を動かして・・・最初に浮かんだのが。


「・・・“好きな子に会ってた”(ボソッ)」
「え?なになに?」
「ごめん、今の無し。オレが馬鹿すぎてマジ笑えないから。“友達に会ってた”。ホラこれでいいだろ」


変なことを口走った恥ずかしさを隠すべく、妹の頭をコツンと叩き本来の目的へと促す。
メイはというと「なにするの痛い!」とか「最初なんて言ったの!白状しなさい!」とかうるさかったが、「あんまりしつこいとオレは帰るぞ」と言ったらしぶしぶ引き下がった。

・・・が、「いつか絶対聞き出したるんだから・・・」と行った辺り本当に諦めが悪い。





そんな妹が自分と同じくある少年に恋をするのはそれから二年後の話。



++++++
メイちゃんの性格迷子。

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