2人で半分こ
Lは不機嫌だ。自分の唇に親指を当てて終始ブスッとした顔でモニターを見る。
レミはなぜ彼が不機嫌なのか分かっている。
Lお気に入りのソファに自分が座っているからだ。
レミの隣は空いているにもかかわらずキャスターつきの椅子をグルグルまわす。
Lなりの意思表示だろうか。
「L。何が言いたいか当ててあげようか?Lはこのソファに座りたい。けど私がいるから座れない。でしょう」
「そこまで分かっているのなら逆になぜどいてくださらないのか理解できません。」
レミを一瞥するとまた不機嫌な顔でモニターを見る。
「レミがどかない理由は2つ。1、このソファに先に座ったのは私で早い者勝ち。2、そもそもこのソファは2人掛けだからLのスペースは十分あいてます。」
「私はそのソファを一人でつかいたいんです。」
「そんな冷たいこと言わないでよ。横においでよ。この席だとモニターがよく見えるよー」
「そうなるように配置してるんだ」といわんばかりに椅子ごとグルグル回り続けるL。
立ち上がってLの椅子の回転を手でとめ、一向にこちらを見ようとしないLの顔を両手でつつんでムリヤリ目を合わせる。
「このソファに座りたいんでしょ?意地張らないでこっちにおいでよ。それともレミのこと嫌い?」
「レミは嫌いじゃありません」
「そう、じゃあよかった。」
そういうや否や自分の唇をLの薄い唇に重ね合わせる。
すこし冷たいLの唇を自分の唇でなぞるように角度を変えて何度も重ね合わせる。
舌も入れないいたってシンプルなキス。
お互いの唇が離れてもLはまじまじと自分を見つめる。
「レミはLが好きだから横に座って欲しいの。わかった?」
「…わかりました。」
「えへ、なんか恥ずかしいな。」
そういって先ほどのソファに戻る。Lはまたこっちを見たままだ。
手でチョイチョイとおいでおいでするとモソモソとLは隣に座り自分を囲い込むように膝を立てて座る。
あぁなんて可愛らしい!
「いきなりキスするなんて順序すっとばしすぎじゃありませんか?」
「そうかなぁ。レミはLの顔見たらキスしたくなったからしただけー」
「私のこと好きなんですか?」
猫背のせいで下から見上げるLを見て私は
「この間初めて見たときからかっこいいなって、レミ結構本気だよ。」
目を逸らさずにそう言ってのけると「そうですか」と一言言った後またモニターに視線を戻した。
「ソファの半分こもいいもんでしょ?」
「それについてはコメントしませんが、先にあなたが手を出したんだから私もあなたに手を出しても文句言わないでくださいね。」
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