主導権争い | ナノ








「最近シズちゃんとのえっち、つまんなーい」


二人とも交互で風呂に入り終え、服を脱がし合う。さぁ、と静雄が意気込んで、その誘って止まない魅惑の身体へと手を伸ばそうとした瞬間、臨也が心底つまらなそうに呟いた。

おいおい一昨日だってあんなにあんあん叫んでいやがった奴が何を今更言っている。
そう言ってやりたいのをぐっと堪える。プライドが人一倍高い臨也は、一度でも機嫌を損ねると、そこから一ヶ月は死んでも身体を触らせようとしない。過去に何回も経験があるから、その点はさすがに学んでいる。

仕方なく手に握り締めていたゴムとローションを放り投げ、溜め息を吐きながらベッドに腰掛ける。少し膨れっ面な臨也を横目に続きを促した。

「たまにはさー嗜好を変えてみようよ。縛ってみたり目隠しつけたり体位変えてみてさー…シズちゃんいっつも正常位か後ろからなんだもん!飽きちゃうよ!!」

人がせっかく負担をかけないようにと、ノーマルな体位でやってきたというのにとんだ言い種だった。というか臨也も感じ入っていたと思っていたが、実際は嫌だったのかと思い、少しショックを受ける。そ、そうか、嫌だったのか……。
地味に傷つき俯いていた顔を上げると、臨也はにやりと楽しそうに笑っていた。

「…という訳で、ねぇ。色々とさぁ試してみようよ」


まじでか。
















「……で、どういうことだ。ノミ蟲君よぉ…」
「何が?」

何がって。
臨也の購入した無駄に柔らかいベッドの上で横たわりながら、俺は後ろ手に両腕の手首をきつく縛られていた。普通逆じゃないのか。

「たまにはいいじゃんか。俺が全部やるからさー、シズちゃんは黙って喘いでいて………安心してよ、俺は自分よりでかい奴を犯す趣味なんてないからねっ」

不吉な事を言いながら、臨也は楽しそうにぷちぷちと俺のシャツのボタンを外し始めた。いつもなら前戯なんて面倒くさい、とぶちぶち文句を言って、俺に任せっぱなしだったというのに、一体どういう気の変わりようだ。
臨也の手で肌蹴させられたシャツの隙間に、するりと片手が入ってきた。やわやわと胸の上で蠢いて、そのこそばゆい反応に思わず身体を揺らす。

「……っ、」

くすぐったさに少しばかり声が漏れた。
それに気を良くしたのか、臨也が目の前でにやりと挑発的に笑い、背筋がぞくりとした。

身の危険を感じるんだが……勘弁しろよ、ノミ蟲。












ぴちゃぴちゃと卑猥な水音が、俺の股の間から響く。黒い艶やかな髪の覆う頭が忙しなく動いて、一心に俺の息子を育てようと頑張っている。

「しふひゃん、ひもちいい…?」

口に咥えたまま、上目使いに見上げる。
下半身直撃なそのエロさに、今にでも縄を千切って押し倒してしまいたくなる衝動を抑える。
息子が一段階グレードアップして、正直な返事を口に感じた臨也は器用に口端だけで笑い、作業をさらに激しいものにしながら再開させた。雁首の部分だけを口に含んで、後は片手で輪を作り上下に扱き上げる。じゅっと音を立てながら吸い上げ、鈴口をぐりぐりと弄り、そこから溢れた汁を舐め取るように裏筋に沿って舌先を這わせてみる。
臨也は普段滅多に口淫をしてくれない為、どうしてこんなに技術があるのか知らない。きっと他の男とでも遊んでいるのだろう、くそ、このビッチが……ってぅあ!もう、限界だ………っ

「……ッ、ぁ!」

きゅっと根元を指で締められ、俺の欲望は塞き止められる。

「な、っ…!」
「だーめ、おっきくしてあげるだけだよ!イクなんて許してないもん」

恍惚とした笑みを浮かべながら、臨也が俺を見上げる。
そして自分の指を舐めて、後ろの穴へ持っていく。

「ぁ……んっ」

俺からは見えないが、くちゅくちゅと粘液が擦れるような音が、耳に届く。
エロい、エロすぎる。
俺の股に顔を埋めながら、なんてこいつには耐えられないのではないだろうか、と考えていたが、今目の前にある光景がそれを裏切った。嬉しい裏切りだ。
手が出せないのが悔しくてしょうがない。

暫くして、ずるりと指が引き抜かれる。遠めに見えた臨也の指先は、体液でぬめって見えた。

「……そろそろ、いいかな」

そう言いながら唇をぺろりと舐め上げ、俺の上に膝立ちになった。


「覚悟しろよー……静雄」


おいおい、馬鹿な真似はするなよ……。


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