跨る体勢を維持したまま、俺のペニスを掴んでそこに添える。
しかし、それから動きが止まった。
「っ……」
「おい平気か……、手伝ってやろうか」
「うる、さいっ……!」
どうやら上手く入らないらしい。
苦しそうな顔をして、内腿の筋肉をぷるぷると震わせながら耐えている。しかしいつまでもその体勢だと辛いままだ。目を閉じてふっと息を吐いたかと思うと、臨也は一気に腰を下ろした。
「うぁあっ……ふ、かいっ……!」
背筋を仰け反らせながら、顔を歪める。
挿入ができたのはいいが、臨也は衝撃を耐えようとそのまま動きを止めてしまう。
眉を寄せて汗だくになりながら時折頭を振る仕草に、なんだか可哀想になってきた。
「あー……動こうか?」
声を掛けた途端、はっとしたかのように目を開き、頭をぶんぶんと音を立てながら横に振った。
「いい、いいっ!じ、ぶんでう、ごくっ……!」
背中を反らして後ろ手に手をついて、腰をそろそろと浮かせようとする。必死に目をつぶる姿がなんとも言えない。これは、結構クる。
「ひっ…ぅ…あぁっ」
少しだけ腰を浮かせて、力を抜いて落とす。
今度は俺の肩に手を回し、腰を浮かせようとするが、力が入らないらしい。「ふっ」とか「ぁん」とか耳元でエロい吐息を吐きながら必死に動こうとする。今にも脱力してしまいそうな臨也を見ていると、なんだか耐え切れなくなってきた。
臨也があまり動けないことによって、微妙な刺激ではこいつはもちろんの事、俺も辛い。
しかし快感を得ようと一生懸命なこいつは見物だ。これでしばらくプライドの高いこいつを弄れそうだ。
ムラムラムラムラ………
「ぁ、あ、あんっ」
ムラっだめだ、限界だ。
ぶちっと音を立てて縄を引きちぎる。
「へ、」とか間抜けな声を上げる臨也を無視し、その細い腰を掴んで上下に揺すり始める。
「ああぁああ!、なに、し、てッ…ひあぁ、あ!!」
結合部からぐちゅぐちゅとした音が漏れ出し、臨也の口からも歓喜の声が溢れてきた。
先程までのもどかしいものとは程遠い快楽に、呻き声が漏れた。ちくしょう、好き勝手やりやがって…おかげでどんだけ高ぶったと思っている。
「あっ、おれ、おれがするっ、ていったのにぃいいいッ」
「うるせえぇえ!煽るだけ煽りやがってッこのノミ蟲が、覚悟しろよ!!」
「ああ、はぁっ……んっ、」
臨也が抗議してくるのを無視して、しばらく黙ったまま身体を揺さ振った。
先端を前立腺目掛けて、ごりごり当たるように揺する。
派手に喘ぎ散らかしながら縋り付いてくるので、その快感はとても堪らないのだろうということが伺える。
やがて眉を潜めて歯を食い縛っていた表情が、とろりと溶けはじめ。はぁ…と恍悦とした溜め息を漏らした。堕ちたな、これは。
「ふっ……気持ちいい、か?」
「ぅんっ……いつ、もより……いっぱいっ……いっぱい入ってくるっ……」
淫猥に嬉しそうに笑ったまま、口付けられた。激しく舌を絡め合い互いの咥内を犯す。
掴まれた肩にぎりぎりと爪が立てられた。
「あっ、ぁっ、い、くぅっ……ふ、あぁぁっ!」
触れてもいないというのに、臨也のペニスが痙攣して、どくどくと白濁とした欲望を吐き出した。
それは俺の胸だけでなく、顔にまで飛び跳ねてくる。口元に付着した精子をぺろりと舐めてみると、苦味が口の中に広がった。
「あ、はぁ……はぁ……」
射精して力が抜けたのか、ぱたりと胸にもたれかかってきた。
すっかり満足した様子だが、お忘れではないだろうか。俺はまだイってない。臨也はふーっと息を吐き、腰を上げて俺の息子を抜こうとするが、その脚を掴み持ち上げ押し倒すついでに腰を最奥まで押しつけた。
「うぁああンっ!ひゃ、あ…なにっ!?」
瞳をぱちくりさせて喘いだ臨也は、状況をよく分かっていないらしい。訳も分からず喘いでいるやつの腰をがんがんに突き上げながら、顔の横に両手をついて臨也を囲った。
「ふぁッ…あああ…、…んン…?!」
「あのなぁ…てめぇは満足したかもしれないけどなぁ……俺はまだしてねぇんだよぉおおッ…」
「ひゃああああッ…やっ、はげ、しいいい………!!」
たまにはこいつの好きなように任せるのもいいが、やっぱり俺にはこっちの方がしっくりくるようだ。
最後ギャグに逃げてしまった自覚はある。
すまんかった。
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