キミのおこした奇跡side S


≫Clap ≫Top

卒業。そして、


キミの異変


「新ちゃん見て見てーー!!」
「あー?」
「コレコレ!可愛くなーい!?」


現在アンカラにあるホテルの服屋。
母さんが見ろ見ろって言ってたものを見たら、ベリーダンス用の衣装だった。


「まさか年甲斐もなく着るとか言うんじゃねーだろうな?」
「年甲斐なく、は余計よ!よ・け・い!!」
「ぃってーな!」
「コレは私じゃなくて、あおいちゃんにどう?って聞いてるの!」
「…はあ!?」
「あの子ちっちゃいのに胸は大きいからこういう服似合うわよー、きっと!」


もう1度母さんが見ろって言った衣装を見る。
水着とはまた違う印象の扇情的な服。


「買ったら着てくれるかしらー?」
「…好きにすれば?」


ちょっと見てみてぇと思ったとか、口が裂けても言わねぇけど。
謝恩会の後、体育館の隅っこで蹲ってるあおいを見つけた。


−おい!あおいテメー人の顔おもいっき−
−な、なななななななな何!!!??−
−………いや、別に−


あの顔は見たことある。
以前、あおいがクロバの前で見せた顔だ。
目潤ませて、顔を真っ赤にしてたあおい。
もしかして、って。
コイツもしかして、って。
期待、まではいかない、希望?願望?
そんな感情が沸いた。


「うちに持ってきてくれるの?」
「おー。オメーの言ってたトルコアイス、かさばってうちの冷凍庫ぎっちぎちで邪魔だからさっさと引き取ってくれ」
「うちに直接送ってくれるんじゃなかったの?」
「あー、うちの分とまとめて買ったから」
「え?なんで?新一も食べるの?」
「…うちにあったらアイツも食うだろーが」
「あー、はいはい。私のお土産はあおいのついでなわけね」
「…まぁとにかく、オメーの分これから持ってくから」


あの日のあおいの顔が忘れられない。
俺の推理が正しければ…、いやでも、先走るのは厳禁だ。
でも、あの日から(って言っても翌日にはトルコに行ったから厳密には帰国後からだけど)あおいの様子がどうもおかしい。


「は?入学準備品?」
「そー。プリント無くしちまってさー」
「呆れた…。あおいは?」
「あー、なんか明日出かけるって言ってたから無理」
「…わかった、明日ね」


て、いうか、蘭に聞きてぇことあるだけなんだけどな。
うまいこと誘って買い物に出かけ、途中cafeで休憩することにした。


「え?あおいの様子がおかしい?」
「おー。なんか心辺りあるか?」
「おかしい、って言っても、別にいつも通りメールしてたけど?どうおかしいの?」
「うまく言えねぇけど…、なーんか変なんだよ」
「何ソレ!…んー、後で園子にも聞いてみようか?」
「悪ぃな」


蘭も原因がわかんねぇ、か…。
なんだろうな。
落ち込んでる、って言うか…うまく言えねぇけど壁があるって言うか、なーんかいつものアイツとの違和感があんだよな…。


「あれー?あおい?」
「蘭!…と、工藤くん…」


買い物も済んで、つきあったんだから夕飯奢りなさいよ!とか言う蘭を連れて米花駅を歩いていたら、改札から出てきたあおいを見つけた。


「オメー今日出掛けるって言ってなかったか?」
「…うん、今帰り。2人は?」
「新一の入学準備につきあわされたの!」
「しゃーねぇだろ!プリント無くしちまって何用意すんのかわからなかったんだから!」
「そう言う大事なプリント普通無くす?」
「普通なんか知るか。俺は無くすんだよ!」
「呆れた!何開き直ってんのよ!だいたい新一は」
「ウルセェな!オメー、んなこと言ってっと」


ついうっかり、米花駅でいつもの口論が始まってしまった。


「もう、新一といるとすぐコレよ!…そーだ!私達これから新一の奢りでご飯食べに行くんだけど、あおいも一緒に行こうよ!」
「無理矢理奢らせるくせによく言うぜ…」
「当然でしょ!今日1日つきあってやったんだから!…で?あおいは?」
「…ごめん、私もう食べて来たから」
「…そう?じゃあもう暗いし」
「ああ。マンションまで送る」
「いいよ!私まだ寄るところあるから!」
「寄るところ?今からか?どこに行くんだよ?」
「…どこでもいーじゃん」
「どこでも、ってオメー人が心配して聞いてんのに」
「工藤くんに言う必要ないし、心配されなくても襲われたりしないし」
「あのなー、いっくらオメー襲うのはよほどの物好きしかいねぇって言っても女なんだからちょっとは」
「ごめん、私急ぐからバイバイ!」
「あ、ちょっ、あおい!」


蘭があおいを呼び止めてるけど、振り向くことなく去っていった。
…なんだぁ?


「いってーー!!何すんだよオメー!!」
「新一が何してんのよ!追いなさいよっ!!」
「じゃあテメーのその足どかさねーかっ!!」


蘭のヤツおもいっきり足踏みやがって!
痛む足を抑えてあおいの後を追った。
ん、だけど、


「…マンションに直行してんじゃねーか」


何が寄るところある、だ。
どーせまたドラマでも見るんだろー?
ほんっと、なんだろうな、最近のあおいの行動は!
イマイチ釈然としないまま、高校入学が近づいてきた。

.

prev next


bkm

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -