キミのおこした奇跡side S


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夏合宿、始まる


ホビッツ解散危機


「オメー俺がなんで怒ってっかわかるよな?」
「なんでですか痛いっ!」
「オ・メ・ェ・がっ!!あることないことベラベラ喋ったせいで、たった一晩で俺が嫌がるオメーを黙らせて無理矢理ヤったなんてことになったんだろっ!?」
「痛い痛いっ!!」


あり得ねぇ!
マジであり得ねぇっ!!
今日部活に行ったらみんな昨日のことを知ってやがった!
いや、歪曲して広まってた!
なんだって被害者の俺がこんなバカ女を無理矢理襲うなんてことになってんだよっ!!!!


「私被害者!」
「被害者は見られた俺だろーがっ!!」
「あんな粗末なものを見て私は心にダメージが痛い痛い痛い痛い!!」
「俺の心がダメージ受けてんだよっ!!」


チョップだけじゃ気が納まらねぇっ!
コメカミ攻撃に技を変えてこの怒りを表した。


「オメーのせいで今日は部活の間中、無理矢理ヤった最低ヤローって目で見られたんだぞっ!?」
「私ヤられたなんて言ってないっ!!」
「じゃあ何言ったんだよ!?」
「私は事実を言っただけ!」
「俺の風呂覗いたって言ったのかよ!?」
「覗いてなんかいないでしょう!?私は工藤くんに裸見せられたって言っただけだもんっ!!」


裸を「見せられた」!?


「1つ確認しときてーんだけど」
「なに!?」
「オメーが!風呂入ってる俺のところに来たんだよな?」
「そうだよ。釜飯でいいか確認しようとして」
「だったらそれがどーして俺が裸見せたに擦り変わんだよこのバカ女っ!!」
「痛い痛い痛い痛いっ!!」


ほんっとにバカだバカだと思ってたけどここまでバカとかあり得ねぇだろ!!!


「私悪くないもんっ!!」
「誰が聞いてもオメーしか悪くねーだろーがっ!!」
「そんな理不尽なキレ方するならもうリベンジ・ザ・レモンパイもあげないっ!!」
「…レモンパイがなんだって?」
「リベンジ・ザ・レモンパイ!勉強見てもらったお礼に作ろうと思ったのっ!」
「…俺に礼がしてぇなら食い物以外にしてくれ」
「もう工藤くんには何も作ってあげないっ!」
「あー、上等だ!俺もオメーの料理とも言えねー食い物食べなくて済んでせいせいするっ!」
「…じゃあもう用ないでしょ!!出てってっ!!」
「ああ、そーするよ!オメーもう俺に話かけんなよ!?」
「工藤くんが話しかけて来なきゃ話さないわよっ!!」


なんなんだよあの女っ!!
裸見られて挙句粗末なんて言われたのは俺の方だろーがっ!!
ああ、イライラするっ!!


「お!今日はナポリタンか!」


芳賀と喧嘩した翌々日、家庭科部との合同合宿が始まった。


「…でもなんか匂いがナポリタンじゃなくないですか?」
「…どことなく目に滲みて来る匂いだな…」
「ま!腹減ってるしなんでも美味く感じるって!ほら、みんな席つけー!じゃ、いっただっきまーす!」


キャプテンの声を合図にみんなでナポリタンを食べた。
カラーン、て。
ベタだけど、誰かのフォークが手から落ちた音が食堂に響いた。


「な、なんだこれーー!!?」
「はっ!?み、水!!水持って来いっ!!!」
「げほっ!げほっ!!あ、ありえねぇ…!!」


なんだこの激辛ナポリタン!!
いや、すでにナポリタンかどうかも怪しいっ!!
ぜってぇあのバカ女の仕業だっ!!!


「…口直しにあっちにおにぎりが用意されてる」
「最初っからそっち出せばいーじゃねぇかっ!」
「工藤」
「なんです?」
「お前はこれを食えるだけ食え」
「はっ!?なんで俺がっ!」
「クレームが来たら工藤くんのせいにしてくれってことだそうだ」


あ、あの女っ!!


「て、ことでお前は自ら行いを懺悔しながらそれを食べろ」
「こんなん食べたら俺来週の練習試合出られなくりますっ!」
「それもお前の自業自得だ」


あり得ねぇっ!
もうほんっとにあんな女知らねぇからなっ!!


「工藤くん、」
「はい!?…ええっと、誰ですっけ?」
「ああ、私家庭科部の部長やってるんだけど」


部長ならこの殺人ナポリタンを作る前に止められなかったのかよ!?


「それ、後で捨てておくから食べなくていいよ?」
「え?」
「いや、さすがに食べられないし…。みんなのと一緒に捨てるから」
「…」
「工藤くんもあっちでおにぎり食べてきて」
「おかわり、」
「え?」
「あるんでしょ?食べますから持ってきてください」
「え!?食べるの!?無理しなくていいんだよ!?」
「暑い夏を乗り切るには激辛くらいがちょうどいーんです。持ってきてください」


バーロォ、どんなに不味くても食ってやっかって決めたんだ。
たとえどんな嫌がらせされても、俺に出された分は食ってやるよ!
拭いても拭いても流れてくる汗と格闘しながら、俺に割り当てられた激辛ナポリタンを完食した。

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bkm

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